暖房を使わなかった

母は小学生の頃、兵役を逃れるため中国に転勤した祖父と共に、天津と北京に四年ほど暮らした。

終戦が近いという情報が祖父に入り、終戦直前に帰国したのだが。

春に帰国し夏に終戦、秋は来たのだが、冬が来ないなあと思っているうちにまた春になったのだと言う。

つまり、北京の冬は、日本と段違いに寒かったそうだ。

母が極端に暖房をケチったのは恐らくそのせいもあるのかなあ。

とでも考えない限り、南関東で生まれ育ったあたしには母のケチは理解できないものだったんだよ。

冬の朝は、さすがにストーブをつけてくれる。
しかし、寒暖計を見て「あ、10℃になった。ストーブ消しなさい」ってあたしにいうの。

ええっ。まだ寒いよお。と抵抗しても「平気、平気」と完全無視。許してくれなかった。

「寒かったら厚着しなさい」で済まされるのはまだ我慢したけど。
手がかじかんで、ピアノの練習ができないのがとても悲しかった。

っていう話、一年前にも書いてたわ。同じ話を繰り返すのはシニアの悪い癖、ごめん。

ところが、ですよ。
さすがの東京も、雪が積もったきのうは室温が12℃だった。
いや、晴れてる今も12℃だけど。

別に、我慢しているわけじゃなくね。暖房使わないで一日過ごしちゃった。

もちろん、厚着はしたよ。夏は暑くて外しちゃうほど背中の面積が広いブラジャーに、いわゆるババシャツ。
の上に、十年ぐらい前に買った無印良品のダブルガーゼの襟付きシャツ。
の上に、薄手の丸首セーター、その上にやや厚いとっくりセーター。なに？死語？わかっとるわい。

の上に秋はアウターとして着た分厚いジップアップセーター。
最後にマイクロファイバーのロングガウンを羽織ったら、普通に生活できる。
手もかじかまない。朝10時なのでピアノは遠慮して、弦楽器だけたくさん練習できた。

もっとも、寝不足だったから午後は3時間ぐらい昼寝しちゃったけどね。
最高室温13℃だった。
目が覚めて、ピアノはほんの30分ぐらい練習した。
それぐらいの室温なら、鍵盤に指が凍り付くこともなく普通に弾けたよ。

たぶん、室温とそれほど関係ない。
時々、わーっと体が熱くなることがあるんだ。
更年期障害のホットフラッシュ、かもしれないけど、でもこの現象二十代のころからあったからね。

ちょっと緊張することがあると顔も背中も熱くなる。仕事で電話を取るたびに、手で顔をあおいでいたよ。

若かりし頃の話

ある冬、同僚と「寒いねえ」といいながら仕事をしていたら電話が鳴った。
「はい、●●部ですっ」と、もう汗ばみながら電話に出たら「ふふふ。おはようございます」と相手が笑う。

はあ？と不思議な顔をしたのだけど、目の前の同僚と声がシンクロしてる。
彼女がいたずらで内線電話を掛けてきたんだった。「あたたかくなりましたか」だって。
ん、もうっ！と笑いながら彼女を睨みつつ、さらに大汗をかいた。

電話は苦手だけど、鳴り続けるのはもっと我慢できない。鳴ったら反射神経で瞬間的に出るようにしていたの。
同僚たち、みんないい子。あたしがそうするからみんなも一瞬で取る。
均等にみんなが電話を取っていたよ。

いたずら電話をしたのも、おちゃめないい子だったな。

そういうわけで、きのうも部屋でガウンを羽織ったり脱いだり、忙しかったわ。

本日のオマケ

昼ご飯は、こないだ食べ残したライ麦入りパスタにジャガイモとサラミのソース。
小鉢サラダの得体が知れない物体はクルミだよ。

ここでワインが飲みたくなっちゃった。寝不足を理由にしたけど、昼寝の理由のひとつはワインもあったかも。

夕飯は、実は食欲がほとんどなく。義務で食べた。
ルーチンの味噌汁納豆大根おろし、だけでいいやと思ったけど。

まだ冷凍庫に古いかぶの葉とエリンギが残ってた。ニンニクとオリーブ油で炒めたら何でもあたし好みの味になる。
特に、アンチョビとくるみを混ぜるのが好き。
塩漬けケッパーの塩も入れたらしょっぱくなりすぎて、寝る前に水をがぶ飲みしてしまった。