リア充そのニ

室内楽発表会では、お仲間の演奏を聴くのがそれはそれは楽しみ。
でも、一緒に並んで聴いてた友達は、「推し」の作曲家作品まで聞いたらそこで帰っちゃった。

う、わかった。おうち、遠いもんね。あたしだけのために来てくれてありがとう。
実はあたしの出番もう1曲あるんだけど。最後の方だから、待てないらしい。

その曲は、クラリネット五重奏曲。
楽器を持って早めに舞台裏で待機したら、メガネを替え忘れてることに気づいた。
拍手を浴びて弾こうとしたら楽譜が見えないので、そこでやっと気づいたが時すでに遅しとはこのこと。
だいたい、のカンと記憶だけで弾いたので、やっぱり少し間違っちゃった。
でも、クラリネットさんは少し遠くなのでバッチリ見える。
いつもと変わらぬ落ち着きでしっかり合図してくれたので、難しいところは大丈夫。
クラの美しい音色に酔いしれながら弾き終わって、静かな満足感。客席に深くおじぎをして引っ込んだ。

楽屋に戻ったら、廊下にいたクラさんが通りがかる仲間みんなから絶賛を浴びてたよ。
「素晴らしかったです。ぜひ、次回いっしょに何かやりましょう」「感動しました！クラリネット協奏曲お願いします」
クラさんは今回初参加の人だからね、みんな興味津々だったんでしょう。
期待を上回る上手さと、めっちゃ謙虚なお人柄で大人気だ。

へへん。あたしはもうツバつけちゃったよん。
次期の曲はクラリネット三重奏、申し込んだら通った。クラさんはあたしのもの～
その三重奏ね、クラリネットと、あたしと、さっき帰っちゃった友達の三人で組むことが決まってるの。
友達に挨拶させるの、忘れた。しまった～。

その次の曲が今回の発表会プログラムの最後。
すばらしい曲なんだけど難しいことでも有名。
楽屋で、これから出番という人たちが「何があっても、最後は笑っておじぎしようね」って約束しあってた。
「終わって、うなだれておじぎするの絶対よくないよ」って。
ほんと、その通りだと思う。思っても、あたしは言えないんだ。

これを言った人は、とっても人の気持ちがわかって寄り添ってくれる人、大好きなんだ。
あたしが初参加したときグループにいた人でね、あたしがその場限りの誰かの代理で来たと思ってたんだって。
「この人がずっといれくれたらいいのに、と思ってたら臨時じゃなかったのね」なんて言ってくれて、少し涙が出るぐらいうれしかったよ。
あたしなんかの腕前でみんなをがっかりさせたら申し訳ない、ってそればっかり考えてたから。

ほかにも大好きな人がいっぱいいて、書ききれないのでこのへんで。

打ち上げはやっぱり今回もなし。急いで片づけたらみんなで駅へぞろぞろ向かって、それぞれの電車に乗る。
なかよしおじさんと並んで座席に座ったので、前日のピアニストさんのことを聞いてみた。
おじさん同士、やっぱりよく知ってた。でもお住まいよりは腕前とか人柄のことを聞きたかったな。

いや。おじさん連発しちゃったけどね。
今日、名簿みたらピアニストさん、、あたしと同い年だった・・・軽くショック。
名簿には年齢の欄もあってね。非公開でもいいんだけど、半分以上の人は公開してる。
同い年の人がああなら、あたしも相当な婆さんに見えてるんだなあ。

おじさんおばさんだと、なんとなく警戒心なく話しやすいんだよね。
そういう意味でも、おばさん（オバーサン？）になってよかったと思う。
負け惜しみでもいいの、これぐらいいいことがオバサンにもなくっちゃね。

で、やっと地元に帰ってきて、その足で選挙に寄ってからうちに着いた。
もし打ち上げがあったら、投票できないところだった。

もはや、自宅で「ひとり打ち上げ」する元気すら残ってない。
木曜に買ったゆでだことキャベツの和え物を作りすぎて残っていたから、これはもういい加減食べないと危険。
おなかがすいたから、じゃなくって、「捨てちゃバチが当たるから食べた」に近い。
とはいえ、冷たいものがとてもおいしい。残しておいたあたし、グッジョブ。
ビールも飲まずに、シンク前に立ったまま食べ終わって、豆乳ヨーグルトとキウイフルーツで締めた。

前日に室内干しした洗濯物は、いまだにそのままぶら下がってる。
でも、こういうのあたし全然気にならない。
あそっか、部屋に二日間全然いなかったから、気になるはずもないね。

今日もオチなしで失礼するよ。
寝オチだけは避けた、っと。

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