チェンバロ教室、今の先生になってから3回目の弾き合い会だった。
最初の企画は、あたしが弦楽器で伴奏して、チェンバロと二重奏してみるっていうのだった。
あたしの後にレッスンに来る、I橋さんとY田さんを同じ場に集めて楽しんだよ。
二回目の企画は、あたしの前にレッスンしている年上のお二人と、それぞれ今習っている曲を披露し合うのだった。
きのうの三回目は、てっきりI橋さんとY田さんだと思ってたら。
I橋さんはなぜか参加せず、Y田さんと、その次にレッスンに来ているという初対面のH尾さんだった。
Y田さんは、毎回レッスンのたびにH尾さんとすれ違うんだそうだ。
あたしは「え、知らない顔の人だ」と気づくだけでびっくりしてしまったが、とりあえず「初めましてよはねすと申します」と挨拶して。
お二人とも、あたしより少しだけ若いな。
段取りは、複雑だった。
まずあたしが30分、個人レッスンをする。
そのあとI橋さんが45分レッスン(弾き合い会に出ないから)、続いてY田さんが30分レッスン。
二人のレッスンの間、あたしは外で休憩というか食事を摂る。
8時に3人まとめてレッスン室に入って、ひとり15分ずつ演奏とおしゃべりをする。
終わったら、最後にH尾さんが30分個人レッスン。
食事を終えて8時にレッスン室に戻って、初めて把握したよ。
H尾さんはいきなり発表は大変なので、手慣らしをさせてもらってた。
その間、あたしとY田さんと二人だけで軽くおしゃべり。
そういえば、最初に合わせてもらったとき、Y田さんから「ショコラティエ・エリカ」のチョコレートをいただいたのよね。
初めていただいたその高級チョコは、とってもおいしかった。
その近くにお住まいなんですか。
「職場がその近くだったのだけど、移転して今は外苑前になっちゃいました」
あら、外苑前だって素敵なところじゃないですか。
外苑前にも、新しいスイーツの店ができたという。
「制服が可愛い・・・」と、名前を思い出そうとしている。
もしかして、アンナ・ミラーズ?と言ってみたら、当たり!
かなり前に撤退してたけど、復活したんだってね。今度、行ってみよう。
H尾さんが手慣らしを終えて部屋から出てきて、「えっこの人知らない」と気づいて挨拶。
「先生は今調律をされてます」とH尾さんが教えてくれたので、その待ち時間に彼女も交えて3人でおしゃべり。
先生、かなり丁寧に調律をされたのか、かなり時間が掛かった。
じゃんけんで、弾く順番を決める。
H尾さんの号令「最初はグー」で、3人ともチョキ。あら、気が合うわね。
最初にY田さん。
あら。なんだか、あたしがさっき弾いてた同じ楽器と違う音がする。
クープランの第8オルドルから2曲・・・ああ、1曲め、もう曲名を忘れてしまった。もったいない。
2曲めは「サラバンド唯一無比」っていうの。
Y田さんの演奏を聞くのは、もう3回か4回めぐらい。
いつも、とっても上手に弾かれてまぶしかったけど、今回はそうでもないな。
ああ、だってたった2週間しか準備期間なかったんだもんね。
先生、弾き終わったY田さんから楽譜を渡してもらってH尾さんに見せる。
「せっかくフランス語なので読んでもらおうと思って」
H尾さん、フランス語が専門なんだって。曲の題名とか、表情記号とか、クープランが書いたフランス語を鼻から抜けるような発音で次々に読んでくれたよ。
あら。来月、海外に行かれると聞いたけどフランスなんですか。
「いえ、なぜかタイです」
フランスは、今危険なほど猛暑なんだってね。知ってる。インスタでフランス在住の人をフォローしてるから。
景観を乱すから、といってエアコンを付けられない建物が多いそうだよ。
それでもう何千人もタヒんじゃってるんだって?それは知らなかった。
セーヌ川は汚いし、とH尾さんは続ける。
へーーー。
先生も「暑くても用水路に飛び込もうとは思いませんよねー」なんておっしゃる。
次に、H尾さんがバッハのフランス組曲の第3番から2つ、弾いてくれた。
フランス組曲は5番と6番が有名。あたしも、その2つだけはピアノで習ったよ。
H尾さんも5番から始めて、全部コンプリートしたいんだってさ。
先生は、彼女がピアノのタッチだったのだけど、だいぶチェンバロのタッチができるようになってきたと褒める、
驚いたことに彼女は、並行してピアノも別にレッスンを受けてるんだって。
両立して弾き分けるのも大変だけど、よく時間あるなあ。あれ?あたしも人のこと言えないかな。
最後にあたし。
スカルラッティのソナタ、全音の曲集では8番になってるけど、スカルラッティの研究者カークパトリックの番号だと87番、ロンゴだと33番。
と読み上げてから弾いた。そのほかにも、あとふたりも独自の作品番号を付けてる人がいたのねー。
ずっとこの楽譜を見ながら練習してたのに、気づいてなかったわ。
あたしは、もしかして付け焼き刃が得意なのかな。
さっきのレッスンで、かなり感情を込めてやりたい放題弾いて。
弾きにくい箇所だけ部分練習をしたら、とってもスムーズに弾けてね。
先生からマルをもらえたんだよ!
しかしみんなの前で弾いたら、やっぱりたくさんミスタッチがあって、悔しい。
先生は「そんなことない、弾けてましたよー」とフォローしてくださったが。
よかった、マル取り消しされなくて。
でもね、集中して練習したら、この曲がとっても好きになったよ。
大切な1曲になった。
H尾さんが「ちょうどフランスドイツイタリアと分かれてよかったですね」という。
あ、ほんとだー。
バッハはドイツから出たことはないけど、イタリアの流行やフランスの様式を積極的に取り入れたんですよ、と先生が教えてくださった。
あたしも、「先生から教えていただいたんですが」と前置きして、スカルラッティはお姫様の嫁入りについてスペインで最後まで暮らした、と言ってみた。
H尾さんは「お姫様、相当上手に弾かれたんでしょうね」という。
だって、姫さまのために何百というソナタを書き続けたんだもんねえ。
先生は「左右の手が交差するむずかしい曲がたくさんあるのだけど、最後は太っちゃって交差できなくなったそうです」だって。
ひ、姫さま~。ゼイタクな暮らしして、幸せな結婚生活だったのかしらねえ。
今回の発表会も、楽しかったなー。
次は12月ぐらいだって。
いつも急に思いつくのがわたしの悪い癖、なんて先生が笑いながらおっしゃる。
次回はちゃんと準備するのかー。
逆に、あたしは時間をかけて良くなるタイプじゃないんだよな。
ま、やりたい曲をそれまでにゆっくり探しておこう。
本日のオマケ


弾き合い会まで1時間あまり。スモークサーモンのジェノベーゼ冷製パスタを注文したら、出てくるまでに20分もかかったよ。
おいしかったのはいいけど、冷房が超効いてて。アイスコーヒーをホットに変えられるかなあ、と思ったらもうグラスに氷をカラカラ入れてるところだった。冷え切ったー。
外は超絶蒸し暑かったけど、予報の雷雨がなかったからラッキーと思っておこう。

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