室内楽本番いろいろありました

視聴率いや読んでもらえる率すごく少なくなるタイトルだと思う。
それでも、ほぼこの活動のために早期退職した身としてはぜひ記録しておきたい。
誰も読んでくれなくても、書く。

今回の発表会の出番は3曲。
リハーサルで、そのうち2曲で「走る」と言われてしまった。
あたし一人だけが速度を増し、ほかの楽器と合わなくなってしまうってこと。

「あ、合わない！」とは気づいたけど、それが自分のせいかわからない。それでも、他の楽器に合わせるしかないのはわかる。

譜めくりも、リハーサルにも参加してやってみた。
途中で「繰り返し記号」が出てきて、緊張した。
最初に戻るのか。表紙1枚めくったところでいいんだっけ。
幸い、くり返しは無視して音楽は先に進んだ。

こういうややこしいことがあると、譜めくりの難易度は激しく上がるんだな。
ピアニストさん、何度も「見えますか」とあたしを気遣ってくれる。
ほんとうは自分の真ん前に楽譜を置きたいだろうに、あたしから近い左側にうんと寄せて楽譜を置いてくれた。

おかげで、何事もなくわりと簡単に譜メクリストとしての仕事は完遂できた。
それに、楽譜を目で追いながら実際のナマ演奏をこの目で間近に見ることができたわけで。
へえ、こう弾くのかーという学びが100個ぐらいあったよ。

本番が終わったとき、舞台袖でピアニストさんから感謝の言葉をいただく。
いえいえ、こちらこそ貴重な体験ができて楽しかったです！
よかったらまた呼んでください。
「今度はよはねすさんコレ弾いてください」と言ってくれたけど。
いえ！あたしには無理だって、あらためてよくわかりました。

大好きなブラームスの五重奏だけど、ほんどにこれは一生無理だわ。

本番1曲めはモーツァルトのピアノ協奏曲だったの。あたしは、弦。
リハーサルで合わなくなったところ、その他全部よく気を付けて。
最前列中央に座ってるおじさん、もしかしてこの全国組織サークルの本部理事さん？
あたしのソロのところで視線がぐさぐさ刺さってくるのがわかる。

ほかのみんなも、「理事のN田さん来てた？」と楽屋で話題になったのだけど。
N田さんはもっと白髪だけど、来てた人は黒い。染めたのかな。

結局、N田さんのことよく知ってる人が「あの人はよく似てるけど別人」と言ってくれて解決。
今度ホンモノのN田さんと初めて合奏することになっているので、それで見てくれたのかと緊張して損した。

しかし、それとは別にやはり最前列に座っているカップルが気になる。
女性が、なんとなく懐かしいような感じ・・・あれ。夏の合宿で初めて会って仲良くなったあの人に似てる。
ここで活動してる、って合宿の時言ったかもしれないけど。
もしかして、あたしのためにわざわざ雨の中来てくれたのかな。

ピアノを弾いてても、合わせるためにバイオリンの方を見ると女性と目が合ってしまう。
結局ね。やっぱり、あのN井さんだった。
お客様一人残らず帰ってしまったあと、最後の片づけでステージに行ったら「あの人が待ってるよ」と言われ。

客席側でたった一人で立っているN井さんに駆け寄って、ステージに膝をついてハグしてしまった。
教えてくれた仲間がびっくりしてる。この人も合宿に参加してN井さんと1曲合わせたので、顔は覚えているそうだ。

ブログでは詳しく書かなかったかもしれないけど、たった一度2時間合わせただけで親友のように仲良くなれたの。
なかなか市販されていない曲を彼女もとても気に入ってくれて、ピアノ譜も送ってほしいと言われてね。

脳足りんすぎるあたしはその時、スキャンするのにお金かかるんですよなんて余計すぎるひと言を言ってしまったの。
N井さんに「お金払います！」なんて言わせちゃってすぐ大後悔したけど出ちゃった言葉は回収できない。
たった230円の小銭なのに、なんてことを言ってしまったんだ。
後日メールで送ったときに「このお礼は必ず」なんて書いてくれたのもスルーしてしまった。

彼女が封筒を差し出すので、「やだぁ！」と手を振ったら「お手紙書いてきたので」と。
まあ。それじゃあ、すみません、といって受け取るしかないよね。

家に着いてから封筒をあけたら、かわいい一筆箋に商品券が1000円挟んであった。
ああああ。申し訳ない。もし今度会えたら、どんなお返しをしたらいいだろう。