いいことだけ覚えている脳のおかげで今日もあたしは幸せです

弦楽四重奏 音楽

ベートーベンはあまり好きじゃないけれど、誰からもお誘いがないと寂しい。
今回、この狭い世界の中で有名な大御所と一緒に組む話をいただいて、飛びついた。

ベートーベン四重奏全曲演奏イベント。
プログラムの曲目紹介など雑用は幹事さんが全てやってくれるので、参加するだけのあたしは演奏だけに集中して楽しませてもらった。

全曲を一日で演奏するには。朝9時半から夜9時までというプログラム。
あたしのリハーサルは11時からだったのだけど、偶然日曜室内楽の仲間たちがプログラム1番に出演するので、ちょっと遅刻した(やっぱりね)けど、最初から聴きに行った。

冒頭の写真はそのグループ。

4人のうち2人が、あたしが初めて参加した時に組んでいろいろ教えてくれた優しい人たちなんだ。
おおっ。いつもより、もっと上手だ。ブラボー!
お祝いの言葉をかけに行きたかったのだけど、すぐ次の演奏が始まってしまって席を立つのが憚られた。

控室で小事故

さて、リハーサルに行くか。与えられた控室その1はホールの2階。
階段が見つからないのでエレベータに乗った。
扉が開いて、一歩踏み出したそこはまさに真剣に練習中の別のグループ。
ここも控室、なんでこんなところにエレベータ設置してるの!?
ココは控室その2だった。

練習中の4人が中断するはずもなく、あたしも「ひいっ」と驚いたけど、状況を呑みこんだらすぐ無言で部屋を出たよ。

昼休憩

リハーサルを終えて、荷物置き場兼レセプションルームでお弁当をみんなと食べる。
90歳は、食べると本番中眠くなっちゃうので本番のあとで召し上がるそうで、おしゃべりのみ。
寡黙60代は恐らく奥様心づくしのお弁当。「ちょっと米が足りない」なんて言ってるけど、あたしのオニギリ分けてあげるわけにもいかない。

本番を終えた人は、順次ここで打ち上げをそれぞれでやってしまうの。
それ用にお菓子や飲み物がたくさん用意されている。
持ち寄りの寄付も多いみたい。あたしも何か持っていけばよかったなあ。

知らない会員さんが、自慢げに瓶を取り出してウチの仲間の寡黙60代に手渡す。
わあ、純米大吟醸だ。
60代が「ありがとうございますぅ」と受け取ってるから、個人的プレゼントかと思ったけどそうじゃなかったみたいね。
あたしに「どうですか」なんて向けて、もう栓を開けたそうな手振り。

いやいや、本番までは我慢しますよー。
お米が足りないなら、純米ですよ、いかがですか!?と軽口を叩いて、飲む前からヨッパライ発言。

ああ、そういえば奥様のシュトーレンのお礼言い忘れてしまった。
パンだけじゃなく、お弁当も美しくこしらえてたんだもの、ほめなきゃいけなかったな。

本番直前

食べ終わって、着替えて、口紅を塗ろうと取り出したスティックの蓋を取ったら。
口紅ではなく、パウダーブラシだった。まちがえたー。
40代女性はばっちりメイクしてるのになあ。またすっぴんで舞台だ。
数年前のこのベートーベン大会でね、舞台に出ようとしたら、仲間から「口紅貸してあげる」と言われてびっくりしたことがあったんだよ。
そうなのかー。口紅ぐらい塗らなきゃいけないものなのかー、とこの時初めて知ったのだ。

そろそろ出番。緊張して、ロングスカートの裾を持ち上げもう片方の手で楽器を持ち上げ階段を下りる。
予定より、大幅に時間が巻いている。
あっ、楽譜をレセプションルームに置いてきちゃった。
メガネの掛け替えとマウスピース装着に気を取られた。
楽譜を取りに戻る時間があってよかった。というか、時間なくても戻るしかないね、この場合。
以前メガネを楽譜用に替え忘れて、ほとんど見えない状態で本番弾いたこともあったよ。

本番

本番。弾いてるときは、緊張しながらも練習時に注意されたことがひとつひとつ蘇るよ。
しかしこのホール、自分の音も仲間の音もすっごく良く聞こえる。演奏しやすい!
この、借りた楽器がよく鳴るのでそのおかげもある。
エンジンのようなリズムを刻むのはあたし。力強く堂々としたエンディングを弾き終わり、みんなで弓を持ち上げたら瞬間に拍手が湧いた!
すっごく気持ちいい!ひとりでニコニコしてしまった。
よくある発表会はね、弾き終わって、立ち上がって、おずおずとお辞儀をするとやっとそこで拍手がパラパラ起きるの。
あの「間」が何とも言えずイヤーな感じなので、あたしはなるべく弾き終わったらすぐ拍手するようにしてるよ。
この会の参加者たち、その機敏があたしと似てるみたい。

舞台袖に引っ込み、ニコニコのまま皆さんにお礼を言った。
90歳は「いろいろあったけど、楽しくできたね」って。
そう。練習時にできなかったことの他に、誰かがズレたりしたかもしれない。
あたしも、音程外れて「わっ」ということが何度かあったかも。
でも、本番が終わるとみんな忘れちゃうんだよね。

ウチアゲ~

レセプションルームに戻って、みんなで紙コップで乾杯。
あたしの目の前には赤ワインのボックスが2箱も並んでる。その席が空いてただけだよお。
赤ワインの前に、色が薄いのから先に試したいな。
お向かい60代が「わかりましたよ仕方ないなあ」と大吟醸を注いでくれた。
2センチぐらい、とお願いしたのにドボドボッと3センチも。
あらあらっ、と言いつつ口に含むと、まあおいしい。
お隣40代女子もイケる口みたい。「おいしいですね」って言ったら60代がまた「しょうがないなあ」と瓶の栓を開け・・・

プログラム1番の仲間たちもそこにいたよ。
今までお昼ご飯も食べず、ずうっと客席で聴いていたんだって。
この人ほんとにベートーベンが好きなのよ。

あたしは語彙力なくひと言しかほめてあげられなかったけど、あたしのことはずいぶん持ちあげてくれた。
楽しそうだった、相当練習したでしょう、真面目なのが現れていた・・・
自分の失敗はすぐ忘れるくせに、ほめられたことは何度でもリピートして思い出せるんだよな。

そして今日、またこの人たちは同じ曲を「日曜室内楽」会で練習するんだよ。
よーやるわ。

あたしも、夜までいればもっとスゴイ人たちの演奏が聴けたのだけど。
今日のためにピアノの練習もしておかなければ。
お世話になったお三方に、LINEグループでまとめてご挨拶で済ませてしまった。

オマケ

貧弱だけど、このあとの一人ウチアゲも一応載せとこうか。

やっぱりビール飲まないとウチアゲと認めない体質。ビールの後は白ワインへリレー。

メインは、先月も作った鱈とジャガイモのピルピル。ほんとは長ネギが合うんだけど、紫玉ねぎで代用。

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コメント

  1. うなゆき より:

    そういえば、思い出した
    上野ホールで8時間位のコンサート
    途中退出も可。
    聴きに行って途中で帰ってしまったヨ

    この音楽コンサートも思いつた人すごいなぁ
    ずっと聴いていた人とかいるのかな?

    • よはねす よはねす より:

      へえ、そんな企画聞いたことがあるようなないような。最近じゃないですよねきっと。
      そういえばピアノ曲で、1曲何時間もかかるヘンテコな曲があると聞いたこともあります。実際それを日本で演奏を行った人がいたような。誰が聴くんでしょうね。あたしか。

  2. にゃんた より:

    口紅の貸し借りってありなのか。
    そう言うもんなの?
    あ、直接塗らないのかな。

    • よはねす よはねす より:

      いえいえ。この時はコロナ前だったとはいえ、普通は口紅貸し借りはしないですよ。あたしもびっくりしました。この人が強烈な個性の持ち主なのです。
      京紅みたいに、薬指を紅筆代わりに使わせてもらいました。