先日の室内楽発表会でピアノを弾いた時の話。
それまでは自分でめくれたけど、この曲では弾きながら自分で楽譜をめくることができなかった。
練習中はなるべく暗譜して乗り切ろうとしたけど、たまに(よく)覚え間違いをして、メンバーを不安がらせてしまったんだ。
発表会本番ではピアノ入りの曲をプログラム前半に固めて、ピアニストたちが前後の出演者の譜めくりをしやすいように組まれてた。
ピアニストならめくって欲しいタイミングもだいたいわかるし、何より「お互い様」って気持ちになれるから。
で、あたしも自分の前の出番でピアノを弾くN川さんに頼んだのよ。
N川さんは入会した時から、誰に対しても好意的な人だった。人をほめる言葉しか聞いたことが無い。
だから、あたしがお願いしたら二つ返事で「いいよ」と言ってくれると思ってた。
そしたら意外なことに「最近目が悪くなって、見落として失敗したら申し訳ないから」って断られて。
内心びっくりしたので思わず「あ、わかりました、ほかの人を探します」ってあたしも即答した。
結局、やっぱりその人はとてーもいい人なので、最終的に引き受けてくれて。
それ以来あたしは彼女を「女神様」と呼んでいる。
女神様は、リハーサルでも「手があいてるから」ってめくりに来てくれた。
それだけでも神さまなのに、「ここはソフトペダルを使うといいですよ」と演奏上のアドバイスまでしてくれたの。
もちろん本番でも譜めくり完璧、なにもストレスなく演奏することができた。
お礼を言って、控室に戻って。
演奏後の控室で
別のピアニストN田さんがいたので、軽くおしゃべり。
譜めくりをN川さんにやってもらって、うまくいきましたー。
「N川さん?」と、N田さんの顔色が変わる。
昨年、N田さんもN川さんにめくってもらったそうだ。
その時、「ここでめくる」とか「戻る」とか事前にお願いして、楽譜にもちゃんと書き込んだのにまちがってめくられた、という話が弾丸トークで炸裂。
目を吊り上げて不満を爆発させてるのでびっくりしたけど「そんなに大変だったんですかー」とだけ言ってやり過ごした。
そういえばこの人、あたしが一度練習を休むときに代奏してくれないかと頼んだときもけっこうキツい言い方で断ったんだよな。
その次の練習日に顔を合わせたときはすごくいい笑顔を向けてくれたので、(先月の言い方を反省してるのかな)と思ったぐらい。
普段、ミーティングの時も問題点解決策一生懸命考えてたくさん発言してくれるので、悪い人じゃないんだけど、弁が立つ人ってしゃべる量が多くなりすぎるのね。
で、発表会後日。
N川さんからメールが来た。
よはねす様 発表会お疲れ様でした。
前回のN田さんの譜めくりでは、ややこしい注文が多くて苦労したので、今回もよはねすさんにご迷惑をかけたら申し訳ないと躊躇しましたが
(中略)
N田さんは他の方々にも私の譜めくりの不満をおっしゃっているようですので、もう二度としたくないですが、もしよはねすさんが、私でよろしければどうぞご遠慮なく。N川
ひゃー。そういうわけだったのかー。深く納得したよ。
N田さんもN川さんも、コミュニケーション能力は高いと思ってたけど、そんな人同士でもこんな行き違いって起きちゃうんだなあ。
友人の場合
あたしの親友ピアニストも前回譜めくりを使わなかった。
あたしがやってあげようかと思って「要らない?」と聞いたら、それでトラブルが起きがちだから絶対に頼まないんだ、って言ってた。
「だから全部暗譜する」だって。
いやいやーいくらあなたの大好きな曲でも、丸々暗譜!?
ほんとに、手ぶらでステージに登場してやり遂げたよ。
あたしだって大好きな曲だけど、要所要所しか暗譜できなかった。
自分では暗譜したつもりだけど、ふとした瞬間に突然わからなくなることがある「かもしれない」と思うと、怖い。
以前、ほかの会の発表会を見に行ったときなんかね、盲目の奏者がいたの。
腕をとって椅子に座らせてもらって、なんと点字の楽譜を譜面立てに置くんだよ。
演奏しながら譜面、触るなんて不可能じゃない?
やっぱり演奏中一度もその楽譜に触れることはなく、無事演奏は終わった。
目が見えない人でも、楽譜がある安心感って必要なんだなと思った。
コメント
譜めくり そんなに大変なのですね
でもでもピアノ以外で譜めくりの人を見た事ない
バイオリンとかは二人一組ですけど
一人参加の管楽器の人はどうしているのかしら?
繰り返しの多い曲ってありますよね
途中から参加する人って、よく間違わないですね
実はこっそり指折り数えているのかな?
おっ、鋭いです。ピアノはとにかく音の数が多いのでページ数が管楽器とは雲泥の差なんです。そして管楽器は何ページも吹き続けるということも少ないです。でもそういえば先日の発表会でフルート協奏曲のとき、フルートさんが自分でめくるのを失敗したと言ってました。真後ろにいたあたしは全く気づかなかったんですけどね。
同じ音型を何小節も繰り返すときは、楽譜の小節ごとに数字が書いてあるんですよ。目でそれを追いながら、頭の中でイチ、ニ、サン…と数えるんです。
どうですうなゆきさん。管楽器やりたくなりましたか?
まとめて25小節も休むときは、出だしに他のパートのメロディが小さくガイドされてます。
それも見落としては危険なので、実はこっそり指を折り曲げて数えることが多いです。本番でそれが客席から見えちゃうと脳足りんがバレるので気を付けてますw
ふーん、いろんな人がいるんだねー。
N田さんはきっと自分にも他人にも厳しい人なんだね。
譜めくりやるんなら、もっと覚悟をもってやれってことなんだね。
友達にはなりたくない^^;ごめんなさい。
盲目の人の点字の楽譜の話はなんか感動。
そういうもんなんだねー。
どうでもいいけど、片足立ちには開眼片足立ちと閉眼片足立ちってのがあって閉眼片足立ちは文字通り目をつむって片足立ちをすること。
これがびっくりするくらい難しい。
開眼なら両脚とも5分平気なぼくも閉眼だと5秒持たない。
これはトレーニングよりもともとのバランス感覚に依存するのかも。
そうですねえ、N田さん敬遠されがち。でも、今のところあたしは大丈夫です。
片足立ち、片目をつぶってやるのかと一瞬誤解してしまいました。あたしのおバカ~。
元々目まい持ちなので閉眼足踏み検査とかいろいろやりましたよ。片足立ちの閉眼、健常者にゃんたさんでもそんなに難しいかあ。もちろんあたしも5秒が限度。ちょっと不思議ですよね。