ロザムンデだけじゃ足りない

音楽
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きのうは平日室内楽に行ってきた。
あたしがエントリーした、シューベルトの弦楽四重奏曲「ロザムンデ」の、第1・2楽章だけ。

ここの会はひと枠1時間しかないのでね、長い曲だと全曲できない。
四重奏ロザムンデは、全曲4楽章で30分から40分程度の曲。
やろうと思えば全曲できるんだろうけど、あたしは全くの初めて。
難しい箇所があったら、引っかかって通り抜けられず時間がかかるかもしれない。

そこが室内楽のおもしろいところ。各自、ひとりで練習して問題がなくても、四人で合わせたらどうしても通らない、なんてことはよくある。

だから、この会の前例を探してみたよ。
メイがここに属していたころ、彼女がエントリーした形跡が見つかった。
彼女がやった時も、第1・2楽章だけだった。やっぱりねー。

幹事さん、誰と組ませてくれるかなー。
ここも、事前にネゴすれば好きな人と組んでエントリーすることもできるらしい。
でも、そこまで仲がいい人、あたしにはまだできない。

蓋をあけてみたら、二人はとても上手な人。ひとりチェロさんは最近入会したばかりで、あたしは顔も腕前も知らない。
でも、なにも心配いらなかった。
あたしひとりが音程が悪いだけで、みんなすんなり通ってしまったよ。

第2楽章、有名な「ロザムンデ」のメロディが使われているのだけど、これだけバイオリンさんが想定外に遅いテンポで、練習してきたイメージと違う。
一度通して弾いたあと、「今まで聞いてたより遅かったですが、これぐらいが普通なんでしょうか」って聞いてみた。
もしかしたら、あたしがあんまり弾けないと思ってあえてゆっくりしてくれたのかもしれない。
バイオリンさんは幹事団の一人で、あたしともよく組むからそれはあり得る。
でも彼は決して「よはねすさんのためにゆっくりした」なんて言わない。
「もっと速いほうがいい?」
弓が足りなくなるので、なんてあたしは言い訳にした。
ほかの二人は、無言。なにも口を挟まない。
タンタタ、タン、タンと希望のテンポを伝えて、もう一度。

うん、どっちの速さもアリだろう。
2回通して弾いたら、満足した。
あと10分ぐらい時間が余ったけど、キリがいいのでこれでお開き。

あたしは、会費を支払って帰る。
ひとりは「今日は3枠あるのよー」なんて言ってる。うらやましい。
あたしはたった1時間遊んだだけでおしまい。このごろ会員が急に増えたから仕方ない、と自分にいい聞かせてる。

チェロさんが誰かと「シューベルトは難しくて緊張したわ」なんて言ってるのが聞こえたよ。思わず、
きょうはお付き合いいただいて、~とお礼を言った。
「この第2楽章って、ピアノでも変奏曲になってますよね」ってニコニコされるの。
あ、そうですね!ピアノもなさるんですか?
「子供のころはやったんですが、今弾いてみたら全然弾けなくなってて」
あたしもそうです~。でも、ピアノのはちょーっとメロディが同じじゃないんですよね。
「そうそう」と二人で歌ってみる。

ロザムンデは、元は劇音楽。その中の間奏曲のメロディを、シューベルトが使い回ししてるんだ。
気に入ってたんだろうね。

チェロさんの言ってた変奏曲は、即興曲変ロ長調Op.142の3。

この曲は、楽譜だけは持ってた。
全音出版社のソナタ集を終えて、子供としてはピアノのおけいこはこれで「上がり」と思ってた。
先生が、次はショパンにするかシューベルトにするか迷って、同僚の先生に相談してたのを小耳に挟んだよ。
「シューベルトのほうが勉強になる」と言われ、全音の「アムプロムプチュとモーメントミュージカル」という楽譜を与えてもらった。

えー、もうショパンができるの、とときめいてたので少しがっかりしたけど、勉強になるなら。
全音、変なタイトル付けるよね。
普通は「アムプロムプチュ」は「即興曲」と呼ばれる。
「モーメントミュージカル」は「楽興の時」という訳が一般的だ。

「楽興の時」は、確かにとても勉強になった。
しかし、先生が教えてくださるのではなく、隣のクラスの女子が音楽室で遊びで弾いてたのを聞いて衝撃が・・・
なんて話は横道にそれすぎるからやめといて。

この楽譜集にあった「即興曲3番」は、残念ながら習っていない。
でも楽譜を見たら、すぐ弾きたくなるわかりやすいメロディで、しょっちゅう遊んでた。
さすが歌曲の王シューベルト。

当時あたしは中学1年。このころは、シューベルトのピアノ曲なんて子供の練習曲としてしか認識されてなかったように思うよ。あたしが弾くと、「エンヤ~コラ~どっこいしょ」と歌詞が付いちゃいそう。
それを演奏会のプログラムに入れて話題になったのがこの人、アルフレート・ブレンデル様だ。

この人以降、みなさん演奏会でじゃんじゃん弾いてくれるようになって、とてもうれしい。

帰りがけに、これから参加する植木等似のおじさまから話しかけられた。
「とっても楽しそうでしたね」
はい~1曲だけで帰るのがもったいないですぅ。
「ボクは7月8月は暑いからしばらく休みますよ」
え~それももったいない!あたしはやりたい曲が死ぬまでにやりきれないともったいないから、今のうちにできるだけ参加しますよっ。
「何てことを」

ここ、きのうみたいに、やりたい曲をお試しさせてもらうのには丁度いいんだ。ヘタでも受け入れてくれる雰囲気がある。そう言ったら植木さんも同意してくれたよ。

ちょっと不満もあるけど、あたしも植木さんみたいに細々と続けよう。

本日のオマケ

どうにも、料理欲が湧いてこない。暑いのも大きな理由だけど、きのうはチェンバロレッスンだったのもある。

帰りがけにふらふらと成城石井に入ったら、おいしそうなパンに割引シールが。賞味期限、今日20日だよ。絶対食べきれないと分かってるけど、連れて帰ってきちゃった。

千切りキャベツの上に乗ってるのは刺し身こんにゃく。半分食べた残りを冷蔵庫の奥の方に入れといたら、少し凍ってた・・・買い換えた冷蔵庫は、強弱調節がダイヤルじゃなくて、強・中・弱の三段階しか選べないの。「中」だったのを「弱」に切り替えたけど、これから猛暑なのに、大丈夫かしらん。

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コメント

  1. じゅん より:

    ロザムンデの記事を読んだあと、頭の中でこの即興曲がずっと鳴り響いていました。即興曲、どれも好きです。私が持ってるのは内田光子。
    シューベルトのピアノ曲って、子どもの練習曲扱いだったんですか? 即興曲は欧米の古典文学の映画化なんかにさりげなく使われていて、私はそれをきっかけに調べて即興曲にたどり着いた、という過去があります。

    • よはねす よはねす より:

      そうなんです。著者は覚えてませんが何かの本で「初心者が学ぶ曲」だと紹介されていたので、ソナタ集を終えて天狗になってたあたしはショックでした。でもそのおかげで、「自分はまだまだ初心者だ」と戒めになったのは良いことだったと思ってます。
      楽興の時だったら、大昔からNHKラジオ「音楽の泉」のテーマ曲として有名でしたよね。

      映画がお好きなら、そこから広がる教養は文学歴史音楽、多岐にわたるのでしょうね。クラシック音楽も、ヨーロッパの歴史とは切っても切れませんし、文学もほんの少しならつながりはあります・・なんて、じゅんさんには釈迦に説法か。

  2. にゃんた より:

    イヨマンテかと思った^^;
    「イヨマンテの夜」どこかの動画で参照。

    • よはねす よはねす より:

      はは。イヨマンテって、なんとなく「歌」だってことは知ってるんですが。「イヨマンテとは」とGoogle先生に今教わってきましただ。
      ロザムンデも劇音楽、イヨマンテもドラマ音楽、似たようなものだもの、混同しても大丈夫!だと思います。でもいいよね。まあしょうがない。許してちょーだい。お願い。

  3. うなゆき より:

    キプロスの女王ロザムンデ、音楽的な事は解らないけど
    キプロス島、地中海にあって、キリスト教とイスラム教の対戦で弄ばれた島のイメージです
    ア、塩野七生さんの小説の影響によりです
    その世界観を見事に現してる曲です♪

    • よはねす よはねす より:

      おおっ、ここにも歴女がっ。塩野七生ねえ、いつか読まなきゃと思い続けて早20年。音楽からも歴史は学べると思ってましたが、甘かった。
      そうなのかー世界観を持ってたら、音楽ももっと味わえますよね。うなゆきさんに追いつきたいわん。