単発イベント、室内楽発表会「アンサンブルを楽しむ会」の本番だった。
ステージリハーサルの出番は11時。楽器(電子ピアノ)の準備があるので10時半に来て、と言われてたが。
一緒に出演するN井さんは、全員のリハーサルを鑑賞したいので9時半から来るって。
ああ、それもそうだな。いざ本番が始まったら、着替えやら受付当番やらで、聞きたい曲が聞けない。
あたしも9時半ぐらいから行こう、と思ってたが遅れそう。朝食の片付けもできず家を飛び出した。
忘れ物したんだろう、って思った?
珍しく、しなかったんだってば。
それで、考えたら慌てる必要はなかったってことに気づいた。10時半に行けば十分なのに9時半に着いちゃったんだからね。
おかげで、楽器を持ってきてくれたオーボエのS井さんと作業しながら、たっぷり話ができたよ。
電子ピアノのスタンドの高さを調整するために下駄を履かせて、特大マスキングテープでぐるぐる巻きにする。
スピーカーは譜面台を立てて吊り下げる。
電源は、練習中はコードだったけど本番は全部乾電池。単三を6本も入れるって大変そう。
ステージリハーサルの後もう一度、別にサブのリハーサル室が設けられている。
楽器を全部そちらに運んでから昼食。二人はちゃんとコンビニで買ってきたという。
あたしは、来る途中で買おうと思ってたのに慌ててて忘れた。一人買いに出たが、同じ建物にあったというコンビニが見つけられず。
隣のビル(といっても結構離れてる)の地下にコンビニがあるという表示を見つけたがなぜか上りエスカレータしかなくて。
買うだけで30分もかかっちゃったよ。
7階でリハーサルを終えて、また楽器を4階のステージ裏へ運ぶ。直通エレベータが無くて、移動のたびに迷子になって大変だったよ。
そしてN井さんといっしょに受付当番。
N井邸で一緒に遊んだ、オーボエのY子さん夫妻を始め、N井さんのお友達が続々と来てくれたよ。
お菓子やお花の小さめな紙袋をプレゼントをいっぱいもらって、N井さんすごいなー。
受付では、アンケート用紙を挟み込んだプログラムをお渡しするだけなんだけど。
来たお客さん、ほとんどN井さんのお知り合いだ。
そして客席はほぼガラガラ。座ってるのは9割が出演者だ。
うん、あたしはよく知ってる。
この室内楽組織が開く演奏会は、どこのホールに行ってもそんな感じ。
せっかくタダで聴けるのに、やっぱり室内楽って一般には興味ある人いないんだなー。
N井さんは、室内楽でおおやけの場でステージに立つのはこれが初めてなんだよ。
あとで、「いつもこんな感じなんですか」って恥ずかしそうに笑ってた。
今まで、曲名を紹介してなかったね。テレマン作曲「トリオソナタト短調」TWV42:g5(音楽の練習帳より)この動画ではオルガンも使ってるけど、チェロを使う演奏もあるよ。でもチェロはすごく難しいので、S井さんは頼める人がいなかったそうだ。
着替えて本番。
リハでうまく行ったつもりの装飾(トリルなど)、即興でいつもと違うことをしたのかもしれない。
N井さんがズレた。あたしとS井さんは楽譜どおり進む。
戻ってくれ、と念じつつバイオリンのパートをあたしが歌ったが、歌わなくてもN井さん、ちゃんと戻ってくれた。
おお、よかった。
あとでN井さん「ごめんなさい」って言うけどさ、もしかしてあたしが変な装飾付けたから迷っちゃったんじゃない?
「それもあるけど」と早口で言ってから「でも拍感をちゃんと持ってないとダメですね」って反省の言葉を口にする。
ああ。やっぱり、あたしの即興がいけなかったんだ。彼女の初舞台に傷を付けてしまったな。
でもS井さんが「誰でもあれぐらいやる。これで経験値上がったから大丈夫」って励ましたよ。
ほんと、その通り。失敗をイヤってほど重ねたから、あたしもこないだの大失敗のあと気を取り直して冷静に最後まで行ったんだよな。
N井さんの失敗も第3楽章の最後、それをすぐに持ち直して、続く第4楽章はいつも通りに立派に終わったもの。

着替えて、あとは客席で演奏を聴いて終演を待つだけ。
休憩時にロビーをウロウロしてたら、N井さんとY子さん夫妻が「いた、よかったー」と駆け寄ってきて。
Y子さんはこれで帰るらしい。あたしに小さな手提げ袋をくれたの。
えっ、あたしにまでお土産!びっくり、なんだか申しわけなくなる。
遠いところからきてくれたんだよね。
また、いっしょに遊びましょうね、と言って見送った。
S井さんはステージ裏方係の当番が一番最後を割り当てられて。
そのおかげで、トリの演奏をしっかり客席で聞くことができたんだ。
あたしもよくお世話になった、若手だけどこの室内楽組織の重鎮4人でラベルの弦楽四重奏という難曲を弾いてくれた。
いやー、すごかった。これはプロとして通用するレベルだったよ。
S井さんは、打ち上げの場所もしっかり企画してくれた。
前回の練習時に、候補の店を4つぐらいプリントしておおよそ決めて。
3人そろって会場を出たところで、目的のピザハウスに一応「これから3人で入れますか」と電話で確認を取ってくれた。
電話を切って開口一番「いやースゴイ」
ふつうに会話してると思ったのだけど、相手がAIで。
「AIのサナエがご案内します」って言われたんだってさ。
S井さん、頑張って動揺を悟られないように平静を装って話し続けたそうだ。うん、全く気づかなかったよ。
あたしもN井さんも、翌日に予定があるので、あまり長引かずサッと済ませたいと言ってあったのだけど。
S井さん、普段からよく喋る人だし。またプライベートな話題でものすごく盛り上がったし。
9時ぐらいまで、の予定が気づいたら9時半になってて、お開きになった。
N井さんがトイレに行っている間、S井さんから「チェンバロをやってくれてよかった。また他の曲をやるとき、お願いしたい」と言ってもらえた。
ものすごくうれしい。
3人ともバロック音楽という共通の趣味があるから、何を提案されても全部やりたいはず。
でも、あたしからは言い出せなかったんだ。だって、あたしの程度じゃあ彼満足してないかもしれないもん。
それが、彼の方から言ってもらえたんだから、これはあたしでもいいって認めてくれたんだよね。
そうだな、楽器の組み立てや片づけの要領も覚えてきたし。
彼を逃したら、チェンバロで室内楽に出演するチャンスなんてほぼ皆無だ。
この喜びを、誰に感謝したらいいんだろう。
本日のオマケ

Y子さんから缶が可愛いゴーフルをいただいた上に、N井さんからまでお菓子をいただいてしまったよ。ありがたすぎて、申し訳ない。

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