ピッコロの破壊力

昭和話

ピッコロはフルートより1オクターブほど高い音が出る笛。
ピンポンパンのお姉さんが番組冒頭で吹いてたあの楽器、ってあたしが小学生の頃なら通じたけど、もう覚えてる人もいなくなったかな。

こないだのオケ練で、その奏者があたしよりもっと遅れて来たんだけどさ。
休憩時間になってピッコロを取り出して、個人練習を始めたら。
その人はフルートも吹けるけど、ピッコロが大好きで、張り切り方が尋常じゃない。自宅では思い切り吹けない分、ここで発散してるのか。いや、どうも、音はデカければデカいほど上手いとでも思っているようだ。
以前その人の近くにあたしの席があったときも、こっちが難聴になるかと思ったわ。

で、休憩後練習が始まったらね。
その、最大限の音量を振り絞るわけさ。
うるさすぎて、思わずそっちに少し顔を向けたら、彼よりもっと後ろのトランペットさんが中腰になってピッコロにあきれ顔を向けているのがよく見えた。

指揮者が棒を止めて「ピッコロうるさい」と言ったら彼、「だって楽譜にフォルテシモって書いてある」と小ばかにしたように言い返すんだよ。
いつもそうなんだコイツ。注意されても絶対従わないだけでなく、指揮者をバカにする発言をするの。
若い時はそこまでじゃなく、不承不承従ってたけど、還暦を超えたあたりからエスカレートしてきたよ。

指揮者は「オケ全体のバランスを考えてください」とピシリと返してくれて、再度演奏させたけど。
ピッコロ、ほとんど変わってない。

指揮者、もう一度オケを止めて「ピッコロうるさい。ピッコロしか聞こえない。周りのみんな」の迷惑になってます、って言うかと思ったけど「みんなの邪魔をしないでください」って言ってた。
やっと、ピッコロが少しだけ抑えた音量になって、それでもかなりウルサイけど、まあその場はなんとかしのいだわ。

コイツがフルートで、アルルの女のメヌエットを吹いたときはね、全員黒の衣装なのにひとりだけ真っ赤なポケットチーフを胸ポケットに差して。
確かにメヌエットはフルートが主役だけどさープログラムはアルルの女組曲全曲だったんだよ。
もちろん指揮者は最後にフルートを立たせたけど、あたしは拍手しなかった。

もうひとつだけ、いいかな。トマトさんも、ここまでじゃないけど音楽上ちょっと違うことがある。
せっかくトマトさんがメロディ部分なのに、よく聞こえなくてね。
まわりの伴奏は一生懸命音量を抑えて、トマトさんの音を聞き取ろうとするんだけど。
「もっと大きく弾いてくれませんか」と言ったら「だってピアニッシモって書いてある」って、誰かさんとそっくりな発言したの。

たぶん、楽譜を書いた人はソフトな音色が欲しかったんだと思う。トマトさんもソフトに弾きたかったのね、とあたしが言ったら「ありがとう」ってわかってくれた。

そういえば逆のこともあったな。ちょっと難しいところ、トマトさんが一生懸命弾くのでメロディが聞こえづらいとき「もう少し小さく」とお願いしたら、「これぐらい?これぐらい?」と一人で弾いてみせる。
合奏って、そうじゃないよね。全体の音楽を聴いて、それにちょうどいいバランスの音量を自分で合わせて出すのが喜びなのだけど。

昔、中学校の先生が言ってた。吹奏楽部の顧問をしてたんだけど、音楽の技術ではなく性格がうまく周りに合わせられない生徒は合奏も合わせられず、辞めて行くって。
ピッコロおじさんもトマトさんも、辞める気配はみじんもないけどな。その生徒を見習ってほしいものだ。

学生時代にバンド活動をしていた同僚も、トマトさんの話をしたら言ってたよ、「そういう人はバンドもできない」って。

本日のオマケ

きのうの夕飯もオカベの細うどん。

枝豆の塩昆布和えが残っていた、違う、これが食べたくて残しておいたんだった。

元レシピはミニトマトをたっぷりにコーンも混ぜてカラフルだったけど、ミニトマトが高くて。普通のトマトを切って加えた。にんにくオイルに白だしとしらすと、トマトと枝豆と全部混ぜて、うどんと和えるだけ。簡単おいしい~♪

赤ピーマンに緑ピーマンも入れて山椒炒め。味付け、よく考えず醤油を入れてしまったけど、食べるとき思い出した。元レシピは「山椒みそ」だった。普通の味噌を使うときは塩分強いので控えめに、って書いてあったのに。

味噌汁サボったから、副菜で味噌を摂れるわい、って思ってたのにね。

こう暑いと、物も忘れる人も死ぬ。一期上の元上司がゴルフ場で心不全、という訃報が入ったよ。怖い怖い。買い物に出るのも命がけだわ。

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コメント

  1. うなゆき より:

    あ〜、わかりみ、わかりみです
    どの職場、グループでも居ますね
    技術的には素晴らしくても、全体とか他者を考える能力が無い人。
    今で言う、コミニュケーション能力欠如かな。

    人は一人では生きていけない、のよネン

    実は私もそうでした
    幸いな事に20代の内に素晴らしい先輩に出会えて
    その後、何とか生きながらえましたヨ

    趣味の同好会って、序列が有るような、無いような
    職場より難しいですよね

    と、偶には真面目なコメントをしてみる。

    • よはねす よはねす より:

      あたしも、たまには悪口満載の記事を書いてみる。ん?たまにか?
      技術的に素晴らしいですか、コミュニケーション能力不足の人って。ほんとに上手い人なら周りが劣ってるのがデフォルトだから、周りを救おうとしてくれると思うんですよ。

      なーんてね、あたしもコミュ力は全くなかったです。苦節何十年かかってここまで来たことか。うなゆきさんがコミュ力向上したのは先輩のおかげもあるのでしょうが、理解できる繊細な神経があればこそだと思います。

      上に書いた二人は、その神経が先天的に欠けてるとしか思えなくてね。素晴らしい先輩でも歯が立たないと思うなあ。
      あたしにもそんな先輩がいたら、もう少し早くコミュ力ついたかなあ。

  2. にゃんた より:

    すごい人たち(^^;
    きっと自分に自信があるんだねー。
    ぼくは隠れられるもんならずっと隠れていたい主義。
    妖怪人間なみ。
    闇にかーくれて生きる…

    • よはねす よはねす より:

      ねー。ここまで自己評価の高い人も珍しい。しかし優秀なのに闇に隠れるだけじゃ、にゃんたさんがもったいないですよ。
      あーわかった。優秀な人って隠れてないと、どんどん仕事を持って来られちゃうんでしょ。それを人に振るのがうまい人が社長とか出世するんだと思ってます。