ほめられることよりも

音楽

室内オーケストラの「本番」のあと、あたしは自分の荷物だけしか片付けないで帰ってしまった。

扉近くにいた指揮者さんから「帰っちゃうの?」と聞かれたけど、謝って。
毎回そうなんだよね。なぜか、ここの練習日とチェンバロのレッスン日が重なることが多くて。

オケの皆さんは、それぞれ打上げらしきものをしているかもしれない。
初回に「このあとお茶でも」と誘ってもらったけど、一度も参加できてない。

武蔵小金井駅ホームに立ったら幸い、始発電車が来たよ。
夕方5時、上り電車に乗り込む客はそう多くなく。
はす向かいの男性はコンビニコーヒー片手に、ドーナツかなにかぱくぱく召し上がってる。
あ、あたしも今のうち腹ごしらえ。カロリーメイトを、飲み物も無しにもぐもぐ。
正面に座ってた小学生と幼稚園児の兄弟と目が合ってしまった。
教育上、良くない。大変、申し訳ない。

チェンバロの先生は、いつものように定時5分前にドアを開けてくださった。

いままで取り組んだ曲は、前回仕上げ。
バッハの徐なら、教則本には第1楽章しかついてなかったので、第2・第3楽章は先生からコピーをいただいて、去年8月からなんと8ヶ月も勉強し続けたんだよ。
これで、演奏会などがあったら1曲通して演奏できますよ、なんて言われて。
はあ。そんなチャンス、たぶん一生来ないと思うけどね、まさか先生の厚意に対してそんなことは言えない。

で、「もっと追求したいか、それとも別の曲がやりたいか」と聞かれ。
実はバッハって真面目すぎて、あまり好きじゃない。
このソナタはほんとにいい曲で、先生から教えてもらって良かったと思ってるけど。

紹介しようか。
バッハは、チェンバロ用に作曲したんじゃないらしい。
「リュート」という、ギターを複雑にしたような古代の楽器のための曲。
でもチェンバロも、それと同じように弦をはじいて弾く楽器だから、チェンバロでもよく合うんだ。

で、さすがに8ヶ月も勉強を続けたら、もういいよ。
そりゃもちろん「十分」と言えるほどには弾けてないけどさ。

「ほんとはあたし、フランスものが好きなんですよねー」と本音を言ってみたの。
では、と教則本をめくって、クープランの「神秘の障壁」のページを開いて見せてくれたのが、前回のレッスン。

以前先生から紹介されたクープランの著作「クラヴサン奏法」という教則本にあるから、そちらで練習してきてください、と。
やっと、有名な(あたしでも知ってる)曲が弾ける、うれしい。「はーい」と返事して、家で早速見たら。
その教本に、載ってないのよー。

先生は、この本を使ってフランスものを教えようとお考えなんだきっと。
じゃあ、何も「神秘的なバリケード」に固執せず、この本でやりたい別の曲を持って行こうか。
この本の中で、唯一聞いたことのある別の曲とふたつ併行して練習してたら、1週間ではどちらもまともに弾けるようにならなかった。
珍しく、他の課題も全く出されていないというのに。

ドアを開けてくださった先生に、早速言ってみた。
「このクープランの本の中に、神秘的なバリケードが入ってなかったんです」
先生「そうでしたけっけ」と言いながら確認され、「ではこっちの教則本に入っているのを使いましょう」と言われた。

「まだロクに弾けるようにならなくてー」と告白したら「まだ1週間だもんね」と慰めてくださった。

この曲は「ロンド形式」で書かれている。主題のメロディがまず出てきて、第1変奏を弾いたらまた主題に戻る。そのあと第2変奏を弾いたらまた主題に戻る。
これが、第5変奏まであるの。
つまり、主題の部分だけは他の変奏部分の5倍ぐらいの量を練習することになる。
まともに弾けるようになったのは、主題部分だけ。

でもね、なぜか先生の前で弾いたら、自宅よりずっとまともに弾けたのよ。
あたしって、本番に強いタイプ?
先生からも「弾けてますよー」と褒めていただき、「おかしいな?」なんて笑っちゃった。

で、「よはねすさんのいい点は、左手の音をしっかり保っていることです」かなんか言ってもらって。
次に、悪い点を言われるンだな、何だろな、と身構えたら、、言われなかったのよ。

装飾の記号がたくさん付いてて、リズムどおりに弾けない。でもそこは主題に戻る直前なので、ひと息ついて空けて弾いていいんだって。
先生がお手本を弾いてくださったら、いかにもバロックらしい、すばらしい呼吸のついた音楽が流れ出てきて。
思わず「わかりました!」と叫んでしまった。

でね、まだ時間がある。
クープラン著作本には、「プレリュード」という名前の曲が最初に8つ入ってるの。
クープランの奏法を勉強するには、これを全部やるといい。

「プレリュード」とは、「前奏曲」という意味。
プレリュードをどれか1曲弾いたら、次に同じ調の曲を組み合わせて、演奏会のプログラムに組むと良い。

ああ、同じ調なら、チェンバロを調律変えずに自然な響きで引き続いて弾けるもんね。
で、でもさ、さっきも言ったけど、演奏会なんてあたし開くことないんだってば。

ま、そうは言っても、「この8曲は基本なので全部しっかり勉強しましょう」、とのことだった。

1番だけは昨年、別の教則本で練習したけど。
「2番は難しいから飛ばしたんですけど、ちょっと今弾いてみて」と言われて、まったくの初見で弾かされた。
あたしが初見でどこまで弾けるのか推し量っているのかなあ。

ほんとに、難しいよこれ。装飾も、指使いも、楽譜の指定の通りになんて全然弾けない。でも、初見楽しい。
見たこともない記号の意味を教わって、これもすごく面白い。
クープランが自分で工夫して作った記号なんだろうか。

ほめられることよりも、新しい知識で新しい曲を弾かせてもらえることのほうが、何倍もうれしい。
脳がゆさぶられて、活性化した。

本日のオマケ

室内オケからチェンバロに直行したので、買い物の時間すらない。昼は頑張って家で食べたので、夜だけは外食。

今までケーキやペストリー程度しかなかったと思うカフェが、パスタメニューも出してるのに気づいたよ。

ミートボールスパゲティにサラダとドリンクがついて税込み1070円、なかなか優秀でない?

普段ならちょっと(かなり?)足りないところだけど、カロリーメイトをかじっておいたのでこれでちょうどよかった。

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コメント

  1. うなゆき より:

    この曲、良いね
    今日の穏やかな春の午後にピッタリです
    明日の雨の前の麗らかな陽射し
    教えてくれて有難う

    分かるヨン
    褒められるのも良いけど
    ほんのすぐそばの奥の部屋の新しい知識…
    理論とか色々と勉強してきた御褒美でござるね