平日アンサンブル2曲め。
有名なオーケストラ曲「モルダウ」を、室内楽的に6人で演奏する。
ひとり、病気の後遺症で半身不随の人がいるんだ。
不幸中の幸い、彼女の楽器はピアノだった。
弦や管は、片手ではどうにもならない。ピアノもかなり制限がかかる。
オルガンなら片手を押しっ放しにして、もう片方でメロディが弾ける。
彼女の夫が、モルダウを上手に編曲してくれてね。
毎回クルマで来てキーボードやスタンドを持ち込み、杖をつく妻をかいがいしくお世話してる。
編曲して、各パートの楽譜も作って、音源までキーボードで作ってメンバーに配るの、大変な才能だと思うよ。
オルガンを含め、たった6人で演奏するのは、そりゃどこかに無理がかかる。
弦の音が揃わない。弦三人だけでやってみて、と言われてその箇所を弾いたら、聞いていた編曲者がバッと顔を上げてあたしの顔を見る。
あたしも、変な音だとは前から思ってるのよ。
「だって楽譜にこう書いてあるんです~」と言いながら弾き続け。
以前もね、別の箇所でクラリネットさんが「この音おかしくない?」と言い出して、「あたしもそう思います!」となったことがあったんだ。
でもその編曲夫は「間違いではない」と。「その音でやってくれ」というので、二人とも引き下がったんだ。
そういう経緯があったので、「この場所の音がヘン」と言い出せず我慢してたの。
しかし、今度はほんとに書き間違えたみたい。
「Ges(ゲス、ソの♭)はいいけど、ここはA(アー、ラのこと)でしょ」
AじゃなくH(ハー、シのこと)って書いてあるよ。
どっちの音も違うぞ。
As(アス、ラの♭)だと思います、とその音を弾いてみたら「ああそうだそうだ、ごめんなさい」とミスを認めてくださった。
「今日からアス!」と宣言されて、あたしは一人で大笑いしてしまった。ダジャレに大喜びする世代って、あたしだけだったのかしらん。
また別の箇所で
また、クラリネットさんが疑問注文を追加された。
「ここはどうしてオルガンだけなの。ビオラも一緒に弾くべきでしょう」
この人、とても耳がいいと思う。他の曲でも鋭い指摘をよくするんだ。真剣なんだけど、絶対に表情は笑顔なの。
編曲夫は即座に手を横に振る。却下。
クラさん食い下がる。「どうして。理由を述べよ」と笑顔で迫るが、夫は目をつぶり頭を横に振るだけ。
クラさん、もう一度「理由は?」と口にしたら、夫が突然目を開いて立ち上がった。
「そんなこと言うならこの楽譜全部回収するぞ」
うわっ。
そしたら来週の本番でこの曲が弾けなくなる、でもそれよりも、普段温厚な彼がこんなに感情を露わにしたことのほうがショックだ。
クラさん、決してね、夫をとっちめようとしたんじゃない。純粋に真剣に音楽のことを考えただけ。
どっちの気持ちもわかるから、この場の空気を何とかしなきゃ。
ここ、オルガンの見せ場なんじゃないですかね。あえてオルガンソロにしたんじゃない?
と、口を挟んでみた。
実はこれ、音楽をわかってる人は「オルガンの見せ場」とは感じないと思う。でも、とりなしせずにいられなかった。
クラさん慌てて、急にしょんぼりして「申し訳なかった」と頭を下げる。
ちょっと、身につまされるなあ。
クラさんもあたしも、ケンカするつもりじゃないんだ。だからあえて笑顔を作って注文するんだ。
その笑顔を、メイは「嗤われた」と解釈し。クラさんの笑顔は注文の攻撃力を弱めるのに役立たなかった。
本日のオマケ
昼ごはんはナポリタン。コゲは失敗じゃないのよ!ケチャップを最初に焦がしてから具を炒めるのがコツだそうで。ピーマンせっかくミッキーマウスみたいな可愛い輪切りにできたのに隠れてしまった。
夕飯の写真もあるんだけど、明日のブログのために取っておく。
コメント
焦げナ〜
時々あるよね、風味を出す為に強く炒り付けなさいとかさ。
コレ、結構難しいでござるヨ
いい感じの茶色、もう少し火を入れてカリカリにしようと思ったら
あっという間に黒焦げ…
コレをケチャップでやるのは至難の業でござるヨ
次回に、こうご期待やね♪
他人の間違いを指摘修正するのは難しいでござるヨ
人間関係のキモの部分なだけに、正解が見当たらないヨン
そもそも、こちらの繰り出す技は数少ないしね…
何か、新しい技見つけたら、教えてチョ❣️
あれぇ?これ、上手く焦がした例なんですけど、もしかしてそう見えなかったかなあ。
うなゆきさんのお仕事の場合は、ミスがあってはいけない場合も多いでしょう。言い方の小技なんかじゃどうしようもなさそう。
あたしのは完全にお遊びなのにね。真剣に遊びすぎる人の集まりも、なかなか難しいでござるねえ。
いろいろ難しい事あるね。
よはねすさん、Good Job.
よく出来ました。あとでクラさんへのフォローもね。
美味しそうなナポリタンに救われる^^;
ごめんなさいね、楽しいことばかりのブログが理想なんですが、現実は厳しい。
クラさんへフォロー、まったく念頭になかったです。今度、尊敬してること言っておこう。ご助言、ありがとうございます。