歌曲のレクチャーコンサート

交流、交際
としま区民センター小ホール

珍しく、歌曲のリサイタルに行ってきた。

歌曲って、疎んじてた。
70年代までは、人並みに歌謡曲は大好きだったけどね、クラシックで歌詞のある曲って、邪道だとすら思ってたよ。
音楽の力じゃなくて、歌詞が素晴らしかったらいい曲と思えちゃうでしょ。
歌詞の力を借りなくても感動できる音楽じゃなきゃ。なーんてね、若気の至りで思ってた。

しかし、聴き手としてのレパートリーを広げることが、あたしのライフワーク。
歌、それとギターも最初は興味が持てなかったのだけど、少しずつ聞くように努力はしてたんだ。

きのうのリサイタルのきっかけは、松本記念音楽迎賓館。
オルゴールや蓄音機までかけて大サービスしてくれた館長さんが、最後にみんなにチラシを配ったの。

うーん、歌曲かあ。と、その場で口に出してしまったけど。
でも、こんなに良くしてくださった館長さんに、間接的にお礼ができるな。

で、きのうのブログでさんざん愚痴ってしまったけど、チケットを買ったの。

全席自由だから開場より早く行って。列の4人目に並んで。
扉が開いたのでスマホのQRコードを用意して入ったら、先に入ったお客みなさんスマホ持ってない。
財布開いて現金で支払ってる。あれ?

あたしの番になって、スマホを差し出したのに全く見ようともしないんだよ。
ただ、名前言って照合しただけで入れてくれた。

もう、何なのよー!無駄に苦労した2時間を返して。

とにかく、いい席は確保しなきゃ。
最前列は落ち着かないので、前から2列め。端っこは出入りしやすいけど、ステージが見づらいから端から3番目。

スタッフさん、次々に入るお客に「どうぞ前の方をご利用ください」なんて言ってるよ。
お客、少ないのかなあ。
客が遠慮しているつもりなのか、それともオーケストラならホール中央の響きがいいから歌でもそう思ってるのか。
プログラムはオールシューベルト、ほとんどみんな聞いたことのある名曲ばかり。

1曲めの「楽に寄す」は、題名はよく聞くけどどんな曲だっけ。

この声はバリトンだな。あ、なんとなく聞いたことあるわ、と思いながら聴いてたけど、サビが近づいてきたらぞわっとした。いい意味で。

もちろんコンサートとは別人さんです

ぶわっと涙が湧いてしまった。

バリトンさんはあたしと同年代ぐらいか。この歳でいい声がまだ出るだけでもラッキーだけど、すごい実力。歌詞の内容はわからないのに思い切り感情が伝わってくる。

曲の途中で、ハンカチを目に当てる。
歌い終わったらティッシュで鼻をかむ。
お隣の、同年代の女性が、そっとあたしの顏を見たような気がした。
でもね、鼻水は実は家でも常時出るんだ。軽いアレルギーか、持病薬の副作用かわからないけど。

さすらい人は、題名だけ知ってる。
同じシューベルトのピアノ曲「さすらい人幻想曲」が有名だから。
「歌のこの部分のメロディがピアノ曲に用いられてます」とレクチャーしてくれたけど、なんとなく「こんなメロディだったっけね」と思う程度にしか記憶にない。

休憩後、客に楽譜が配られたのだけど「お二人で1枚をご覧ください」って。
そんなところで、なに節約してるんだろうね。
端の男性と、あたしの隣の女性で1枚。あたしの反対側の隣は運よく空席、あたしは一人で1枚ゆっくり見られたよ。

ははーこれから演奏する「菩提油」の楽譜だ。
歌とピアノの楽譜に、ドイツ語の歌詞も付いてる。

端の男性は、読む気ないみたい。女性が眺めてたけど、あたしに話しかけてくれた。
「わたし楽譜わからないのですが、これなんでしょうね」
うーん、とあたしも楽譜を見つめて、読み取って。
あ、これ、菩提樹ですよ、ラ、ラーラララらーら。
とメロディを指で追いながら冒頭だけ歌ってあげた。

「あ、学校で習いましたよね」と彼女がおっしゃる。
そうですね、と返事したけど、よく考えたらあたし習ってないや。
うちの高校ではオーソレミオとかイタリア語のだけでしたね、ローマ字で読みやすいからでしょうか。
彼女は日本語の歌詞で習ったそうだ。それでもうらやましいです。

でもね、そのビラに付いてる歌詞が、プログラムに載ってる歌詞と全然違うの。
同じ歌詞に別の作曲家がメロディをつけるのは知ってるけど、逆は聞いたことないぞ。
その理由の説明はなかったな、そういえば。

で、そのビラには「演奏後回収します」と書いてある。
「著作権の問題でしょうかね」なんて女性はおっしゃるけど、あたしも全くわかんない。
曲は古いから著作権切れてますけど、歌詞は新しいんでしょうかね!?

レクチャーでは、シューベルトの自筆譜のファクシミリを拡大して掲示板に貼って、客に見せてくれた。
インクの色が違う箇所は、あとからシューベルトが 2小節書き加えたんだって。
配られたビラには、その部分が赤線で囲んであった。

プログラム最後の曲「プロメテウス」は、題名すら聞いたことがない。
シューベルトの歌曲って、ウキウキはずむとかとぼとぼ暗く歩くとかのイメージだけど、この曲はびっくりするほど激情的。オペラみたい。
歌手は「わたしはこんなに下品に歌いましたが」なんて笑わせてくれた。

いろいろ、大満足。
アンコールも2曲歌ってくれたよ。
1曲めはみなさんもよくご存じのにします、と歌われたけど。
ああ、確かによく知ってるけど、題名何だっけー何だっけー。
これ、岸部一徳激似おじさんと遊んだことあったな。岸部さんがテノールで歌って、あたしがピアノで伴奏したよ。
もしかして、セレナーデだったっけなー。

お隣さん、アンケートを熱心に書いてた。あたしも、普段は書かないのだけど、あまりにも感動したので珍しく書いたよ。
書き終わったらしく、彼女があたしの顏を見る。
「あの、最後の曲は何だったのでしょうか」
ああ、あたしもとっても気になってるんです。もしかしたらー、セレナーデ・・かなーと。
でも、さっきやった曲の中にセレナーデってあったから、同じ曲じゃないですよね。きっと、出口に掲示してありますよ。

お互いにありがとうと言い合って、彼女が先に退出。
でのこのホール、ロビーといえるようなスペースはないのよね。
アンコール曲の掲示は見つからなかった。
でも、ぜったいあれはセレナーデ。
彼女がこのブログを見てくれる確率なんて天文学的に低いけど。

プログラムで「セレナーデ」と紹介された曲は、冒頭の歌詞「聞け 聞け ひばり」の名で広く呼ばれているのだったよ。

本日のオマケ

このあと、演奏会をハシゴしたんだ。夜の部突入前の腹ごしらえはこちら、後楽園のアフタヌーンティールームでハイティーセット。

オーガニックトマトとモッツァレラチーズのパスタ、アップルティー、栗とラムレーズンのショートケーキを選んだよ。

時間があまりなかったのだけど、ファストフードで夜ごはんにするのは寂しい気持ちだったんだ。無理して、正味10分ぐらいで食べちゃったと思う。これはこれで、もったいないことをした。

にほんブログ村 クラシックブログへ にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ

コメント

  1. うなゆき より:

    アハハ、松本音楽堂、確かにアナログの匂いしかしませんね
    名前言って、線引いてお終い、みたいな

    私は歌声、大好きです
    一番素晴らしい楽器と思ってます
    行ってみたかったなァ
    今、出先で曲を聴けないのが残念です

    アフタヌーンティーのお高いメニューを
    10分で成敗する、戦士よはねす先生
    剛毅でございまする

    • よはねす よはねす より:

      ああ、あたしの話があちこち飛ぶので誤解を招いたと思います。松本記念館で紹介、お願いされたコンサートでしたが、主催は記念館じゃなく、記念館も属する財団法人だったのです。ま、同じようなもんか。どうせアナログならばプロモータなんか使わず、紙のチケットを売って欲しかったわ。

      歌はね、まだ日本人の体格が貧弱でロクに歌えなかった時代、あまりのヘタさに呆れた子供時代の記憶も悪さをしていたみたい。ちゃんとした歌手の体ならすばらしい楽器となるんですね。

      長いブログ読んでいただいて、ありがとう。YouTubeはなるべく歌声の近い人を選びましたが、んーやっぱりナマで聴いてしまうとかなう音源はなかなかありませんね。

  2. にゃんた より:

    ぼくもオーソレミオは原語で歌わされた。高校のお音楽の時間。

    • よはねす よはねす より:

      あれ、覚えてるといいことあるでしょう。サビだけちょこっとでも歌えると。なんとなくカッコがつく。
      でも、サビがね。「オー、ソーレミーオ~」って歌うのだと思ってたら「マーナートゥソーレ~」って歌詞だったのよね。思ってたのと違って、今でもかすかに抵抗があるのです。