酒豪の友人

3年半ぶりに友人と会った。
15歳も年下なのに、いっしょの部署で働いたのはホンの2～3年だったのに、ずっと10年以上連絡を続けてくれている。

コロナ前はね、年に一度か二度は会っては飲み、飲んでは話し、旧交をあたためては騒ぎ。
二人で決めて、ときどき共通知り合いの他の人を誘ったりもする。
今回は友人の地元、西荻でいい店見つけたんですよと言われ参戦してきたよ。

友人の企画はまずイタリアンバル「OHAKO」で立ち呑み。
まだ明るい、5時半なのにもう8割ほど席が埋まってる。

カウンターにずらりと並んだおつまみから好きなのを選ぶ。
いちじくバターがおいしかったー。

初っ端から盛り上がって、一番の大ネタをここで披露してしまった。
友人が昔大嫌いと言ってたイケメンが、部長に昇格したけどパワハラで降格されたの。
期待通り、大喜びしてくれたわ。

わいわい騒いでたら、次の本命のお店の予約時間が来てしまった。
グラスに残ったビールを一気飲みして、次はマイロードの中にある「SAKE-YA」
紺地ののれんがかかって、オリジナル輸入ワインと日本酒とクラフトビールのお店だったよ。
つまみは、二人とも大好きなイタリアンがいっぱい。
「サバりがっこの和風リエット」だって。

このカードを手書きしてくれたなおさん（若い女性）が作ったというクラフトビールも頼んでみた。
実はビールはスッキリスカッとしか求めてないからクラフトに興味はなかったんだけど、素晴らしいフルーティな香りでびっくりした。

大ネタを使っちゃったから、なんの話をしようかと思ったけどなにも困ることはない。
丸の内のフェスでもらってきたプログラムもつまみになった。

友人、会うたびに洗練されててうれしいんだけど、今回はあまりにも美しくなってて思わずまじまじと見つめてしまった。
なんでアンタだけ若いまんまなの。いったい何やってるの。
化粧が上手くなったんです、と言ってた。確かにわかる。眉の描き方も、肌の整え方も完璧。
あたしも友人と同じぐらい、40代前半のころプロに化粧してもらったことがあるけど、「厚くなった」だけで、素顔と全然変わり映えしなかったよ。
友人が化粧映えする顔立ちなのかなあ。いいなあ。

友人は、この店でも3人ぐらい、先の立ち呑み屋でもすっかり仲良しの店員さんがそれぞれいて。
とっても楽しそうに店員さんたちとコミュニケーションしてる。
友人が楽しそうにしてるのを見たら、こっちも楽しいよね。
彼女は5年ぐらい前に親元から脱出して一人暮らしなんだけど、なんか安心したわ。

この店、「フリーフロー」制がある。
いちばん短い1時間コース3300円にした。
冷蔵庫にあるお酒をなんでも自分で勝手にとって、自分のグラスに注いで何杯でも飲んでいいの。

最大3時間まで選べますよー、と友人は言うし時間も余裕あるけど、飲み過ぎ間違いない、怖い怖い。
え、もうラストオーダーなの、と慌てて最後の1杯を注いだけど、もう肝臓能力が限界を越えてた。
1万円札を出したのは覚えてるけど、そのあとの記憶がすべておぼろげ。
1万円は財布に戻したのか？端数は出したのか？出してもらったのか？

その晩のうちに「ちゃんと帰れましたかー」とＬＩＮＥが入ってたけど、家に入ってからの記憶はほぼなし。
朝、観葉植物の鉢が倒れててびっくりした。
「もうフリーフローはやめよう」と返信だけして、お出掛けの荷物だけ用意してまたベッドにひっくり返った。
酒豪の友人でさえ「あれ以上飲んだら私も危険だったかも」と。

若い頃に仲良くなった古い友人って、当時と同じ勢いで飲んじゃうから危険だね。
肝臓はしっかり年を取ってるってこと、忘れないようにしなきゃ。