昨日のストリートピアノは、上野の西郷さんの下、京成上野駅に設置してあるんだ。
弱音ペダルにムッとして、西郷さん下脇に留めてあった自転車にまたがったら、声をかけてくる人がいる。
階段にじかに腰を下ろして、野球帽をかぶった瘦せ型男性、今まであたしの人生には現れたことのないタイプ。
何を言ってるのか少し発音がはっきりしないのは、歯でも抜けてるのかな。
「あなたこの近くの人でしょ。このへん、生活保護いくら」
え。なんだって。
自転車を転がし、彼の目の前に移動した。
「オレ、生活保護月25万もらってるよ。新宿区だと12万5000とか6000とか。台東区はどれぐらい」
うーん、生活保護はもらってないから、わかんない。と、首をひねる。
男性はあたしと年齢は近いように見える。
初対面なのに、つい、タメ口をきいてしまった。
「あたし、今ハローワーク行くところなのよ」
男性は昭島市に住んでいるらしい。聞き間違いだったら、ごめん。
25万を自慢する。
(あたしの失業保険よりずうっと高い!いいなーと心の声)
あたしの服をチラッと見て「それぐらいの服とか靴なら、池袋に行けば300円で売ってるよ」
お、恐れ入ります。
確かに、誰かからもらったエジプト土産みたいなTシャツに、5年以上前に買った無印良品の麻スカートで。
そうかあ、生活保護受給者に見えたかあ。
Tシャツは今年初めて下ろしたんだけど、スカートが敗因か。
アイロンも当てたし、自分には傷んでるようにも見えないんだけど、そろそろお別れしなきゃいけないかしら。
気に入ってたから残念だな。
男性はどんどん話を続ける。
鹿児島出身で、なんか高校野球で有名なところだそうだ。
「高校からずっとボーズ」と野球帽を取って見せてくれた頭は、きちんと散髪されている。
少なくともホームレスではないようだ。
「鹿児島いいよぉ、来たことある?」
「鹿児島いいよねえ、お菓子おいしいし!でも宮崎しか行ったことない」
まだまだ話したそうだったが、この分だと日が暮れそうだ。
「ごめんねえ、今からハロワ行かなくちゃならないの、バイバイ。」と手を振った。
「そうかあ、また話そうな。ハロワ頑張ってな」
ありがとう!
自転車で50メートルぐらい離れても、まだ「がんばれー」と声援が聞こえる。
ちょっと振り返ったら、こっち見て手を上げてくれた。
手放し運転ができないので振り返すことはできなかったけど、もう一度声援をもらった。
ハローワーク上野では、毎度職業相談に乗ってもらう。
番号札を引くのだけど、今月から「60歳以上」のボタンを押すのだった。
今回の担当は初めて男性が当たった。
希望条件を言い、新しい求人情報をくださいとお願いした。
「34件もありますが。税理士事務所で本格的に、って感じではないですよね」
はあ。簿記3級しか持ってないので、2級以上必要なのは省いてください。
一覧を印刷してくれた人も以前いたけど、今回はバラの求人をぶんぶんと一気に印刷して。
その束の中から、担当員さんが違うと思われるものをよけて、残りをまとめて渡してくれた。
資格者証もすぐハンを押して返してくれた。
え。え?もう、放免かな。
「あ、たくさん、ありがとうございます、では、持ち帰って検討させていただきます」
と立ち上がる。
「はい、ゆっくりご覧になってください。がんばってね」
ちょっと待って。プレイバック、プレイバック!
今の言葉、プレイバック。さっきの男性の声援が耳の中でこだました。
コメント
あら。新しいお友達ができたの?
昭島市ってそんなに高いの?ってブログ見てみたけど
一番高そうな【50代夫婦、子供11歳、7歳】
で174,830円
70代ひとり暮らしだと75,000円くらい。
そのおじさんは壮大なトリックを使ってるのかもしれないねー。
ぼくも昨日ハロワ行ってきた。
一応インターネットの自分のページで経歴公開してますって言ったら
「何かお手伝いできることありますか」って言われたので
「いえ、気持ちだけ応援していただけたら」って言ったら
「じゃあ頑張ってくださいね」
「はい(^^)」
(はんこ)
で5分かからなかった気がする。
はい。お友達増えて増えて仕方がありません。なんとぜいたくな悩み。
お子さん7人ぐらいいるのかなあ。お友達なのに家族構成も知らないや。。
下手に求人がない地域のほうがハンコもらいやすいような気がしてきました。
そっちのほうが簡単そうだなあ