早すぎるブラボーやめて

音楽

きのうはオケ本番。
午前中のリハーサルではバイオリンソリストが、普段の練習では省略するカデンツァを全部省略せず弾いてくれた。
ごくっ。滅多に聞けない、この瞬間。
誰もが固唾を呑んで耳を澄ます。

しかし、遠くから人の話し声が聞こえてくる。
舞台袖にいる、音声スタッフさんかなあ。いや、どうも2階席にいる、撮影スタッフみたいだ。
みんな、見上げたり、露骨に首を回して横目で見たり。
出番じゃなくて客席で聞いてた仲間など、思い切り通路に出て見上げて、「えっ、えっ」と二度見してた。

話し声がこんなにみんなにまで届いてるとは、スタッフさん思いもしないんだろうなあ。
でも、めっちゃくちゃ迷惑だった。ソリストにももちろん失礼に極み。

リハ最後に。

我々オケは、特に目立つトランペットも猛練習したんだろう、指揮者先生もさすがに怒ったりせず「本番を楽しみましょう」と爽やかにおっしゃった。
リハ中、お腹がずっと鳴ってたよ。朝、食べる時間がなくなって、焼芋の残りを三口ほど詰め込んだだけだった。
昼休憩の前に、ソリストからの差し入れがあったんだよ。みかんと、チョコレートの個包装をひと箱ずつ。
みかん、すごく味が濃くておいしかったー。

本番を迎えた。お客様、2階席までぎっしりでびっくり。

指揮者は若くて無名だけど経歴はすばらしくてイケメン。
ソロバイオリニストというゲストがいるのも珍しいし、この人はかなり有名だし、曲目もよかった。

チャイコフスキーのバイオリン協奏曲は超有名でしょ。
バイオリン協奏曲といえば「メンチャイ」と言われる、メンデルスゾーンと共に二大協奏曲のひとつ。
もちろんブラボーが起きた。
みんな期待してたけど、ついにアンコールはやってくれなかったなー。

休憩後のメイン交響曲は、第3楽章にファゴットの長いソロがあってね。
うちのファゴット君は音大の4年生。
あたしは祈るような気持ちで噛みしめながらウットリと聞いてたが、客席からデカいくしゃみをする男性がいて、がっくり。

咳もそうだけど、なぜハンカチで押さえないんだよっ。

そして、エンディングは思い切り派手。じゃん、じゃん!!と大音量で終わって弓を振り上げた瞬間、またもブラボー!!

・・・・・・やめてくでー。残響が聞こえなかったじゃんか。指揮者も目を閉じ、ちょっと硬い表情してたぞ。

楽屋で、協奏曲と交響曲のブラボーは同じおじさんだったよね、っていう人が数名。
打ち上げで、指揮者が我々のテーブルに来てくれたときに話を振ってみたら、指揮者もそう言ってたわ。

そういえばつい最近、どこかのプロオケで「早すぎるブラボーはうれしくない」って公式にはっきり書いてあったなあ。
ツイッターあ違ったエックスか何か忘れたけど。
あのおじさんに、この記事を送りつけたいよ。

打ち上げでのバイオリニストからいただいた挨拶は。

「バイオリンやってる人はみんな、子供の頃チャイコフスキーのコンチェルトやったと思うんですけど云々」
へー、そうなの!?
バイオリンの仲間の顔を見るまでもなく、みんな顔を見合わせてる。
まさかでしょー。
ソリスト先生に「そんなことありません」ていう人がいたけど、先生が「そうなの?」って反応。
やーねー。デキる人って、嫌みでなく本気でそう思ってるのねー。

打ち上げは、前回と同じ焼き鳥屋。
焼き鳥にはビールが最高に合うのに、そして打ち上げといったらまずビールで乾杯以外考えられないのに。
飲み放題コースだけど、ビール類だけ除外なのよね。
ほかはハイボールやサワー類と、ソフトドリンクだけ。

せめてワインや日本酒でもあればまだいいのに。
あたしはジャスミンティー1杯しか飲まなかったよ。
そしたらね、バイオリニストが一升瓶の獺祭を差し入れてくれたのよ。神!
しかもおちょこだけ店に頼んで、バイオリニストみずからお酌して回ってくれたんだよ。

はー、冷たくておいしい。やっと、このおかげで打ち上げの気分になれたわ。

みんなも、このひと月ほど辛い気持ちで練習を続けてたと思う。
解放されて、とっても楽しい打ち上げだったよ。

さて。1週間だけ休んだら、新しい曲目の練習が始まる。
それが今年最後の練習で、新年最初の練習は第3週なのよ。
・・・絶対、年末に練習したこと全部忘れるよねー。

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