大きなつづらを背負った欲張り婆さん

きのう、歯医者さんに行ってね。自転車は怖いのでやめて、電車で行くのだけど。

いつも、その近くの酒屋さんのビール6缶パックを買ってくるのが習慣になった。
うちの近所よりいつも安いから。
1本あたり10円程度だから激安というほどじゃないけど、あたしは少しでも安いものを探すのが大切な趣味でさ。

さらに、ついでに図書館にも寄って3冊ほど一緒にリュックに詰めて、相当な重さになった。
時々よろける。
真っ直ぐ歩いてるときはいいんだけど、前から歩いてくる人をよけようとする時一瞬クラッとする。
元々軽いメニエール病で、調子のいいとき悪い時がある。最近の調子は中ぐらい。

電車を降りた人が一斉にエレベータに向かう。
あたしの前に杖をついた人がいる。
追い越したいけど、追い越してもさほどの距離は詰められないのでがまんして、後に続いてゆっくり歩く。

と、後ろからドン！と、リュックに衝撃がきてよろけた。
あたしを追い越そうとした若者がぶつかって、振り返りながら謝ってる。

うん、やっぱり混雑してる時に追い抜いちゃだめね。
エレベータ手すりベルトにしっかりつかまった。

家に近づいたところで思い出した。
近所のスーパー、本日限りでお菓子が1割引きだったわ！その他特売品メモも用意してきたんだ。

小さな子供がスーパー入口で遊びながら歩いてる。
真っ直ぐ行ったらぶつかるのでよけようとしたら。
靴裏がズルッと滑って、背中のリュックの重心が狂って、体がまっすぐ前にばったり倒れた。

あえて、踏ん張ってこらえようとしなかった。無理にこらえると体をひねって傷めそうな気がしたから。
倒れる瞬間がまるでスローモーションみたいに、そんなことを考えてたよ。

すぐに、誰かが後ろから「大丈夫ですか」と声を掛けてくれる。
手のひらと膝を打ったけれど、激痛はない。骨は折れてなさそうだ。
「はい。大丈夫です」とゆっくり返事して、「ヨイショっと」と掛け声を掛けて立ち上がれた。
もういちど大丈夫ですか、と心配そうにのぞき込む女性にもう一度お礼を言って頭を下げた。

舌切り雀のおばーさんを思い出したよ。
欲張って大きなつづらならぬ重たいリュックを背負って、魔物にこてんぱんにやられてしまった。
スズメならぬハトを蹴散らして歩いたバツかしらん。
蹴ってはいないけど、ぶつかってもいいやぐらいの勢いで群れの中を横切ってるからさ。

いやー、ひどい目にあった。
手のひらと肘をほんの少しすりむいただけで済んだけど、家で落ち着いたら打ってない右肩周辺が痛くなってきた。
腕立て伏せのように起きたから、筋肉痛かなあ。
体重プラスリュックの負荷が加わった腕立てだもんな。

今日はこれからオーケストラで、トップサイド当番なんだよ。
まともに弓を動かせる気がしない。

目当てのお菓子、黒豆せんべいは売り切れだったしさ。
いつも特売日に売り切れるんだよ。あたしと同じようにドケチで熱烈なファンがいるな。

オマケは歯医者さん近くのカレー。
チェーン店だけど店員さん全員インド人。
もう13時でお店ガラガラなのに、全然注文を取りに来てくれない。
いっしょけんめい遠くの店員さんに手を振ったら、5メートルも先から「なに」と聞いて来る。
ニコニコして損した。あっちはにこりともしない。

声を張って5メートル先の店員さんに「2色定食」と叫んだのに、届いたプレートにはカレーが1種類しか載ってない。
大丈夫か？この店。
キーマ（中辛）とベジタブル（いんげんマッシュルーム人参カリフラワーの甘口）
を出し直してもらった。