トラウマの音楽

けさ、ラジオでかかっていた曲「サン・サーンス交響曲第三番」は、けっこう長い間トラウマだった。

三十代半ば、まだ若かったころオーケストラで取り上げた時に、ピアノを担当したの。
ピアノは1台を2人で使うんだけどね、仲良しの上手い人が第一、ヘタなあたしが第二奏者。

第二奏者の出番はほんの少ししかなくてね。
曲全体で35~40分ほどのうち、40秒しか弾かないの。しかも低音、聞こえてるんだか疑問なぐらい。

あたしは、練習なんか必要ないと思ってた。
でも仲良しさんは、あたしの音がうるさすぎると言い出して、あたしが直らないものだからかなりイライラさせてしまった。
「よはねすさんはこのピアノを楽しみにしているようだから、私が降ります。誰か代わりの人を探してください」とメールが来た。

そこまで嫌われちゃったら、もうあたし、出ない方がいいかな。
そこであたしが考えた言い訳。
イボ痔になって、長時間椅子に座れなくなったのでオケ辞めます」

どうだ。これならみんな笑って許してくれるだろう。
でも笑うのは失礼だから、きっと何も言わず引き留めたりもしないよな。

実のところ、ほんとにイボ痔になっちゃったんだけどねー。
椅子に腰かけると、痛いっちゃ痛いけど我慢できる。仕事は休まなかったもん。

でも、仲良しだった友達とこんなことで絶交になっちゃうのだけは悲しかった。

そしたらね。その友達が考え直して、うちにお見舞い持って来てくれた。
涙ながらに、「以前もこんなことがあって、またやらかしてしまった」と謝って、あたしが翻意するようにと言うんだ。

結局、その演奏会は出演して、でもオケは別の理由もあって一旦退団したのよ。
言い出して大騒ぎさせて、引くに引けなかったってのも、あるかな。

そんなことがあってから、この曲が耳に入るとすぐラジオを切って。
外出先で聞こえてきたら両耳に指を突っ込んで。
10年以上、そんな状態が続いたけど、だんだんね、心の傷もふさがった。
いい曲だもん。一生聴かないなんてことはできない。

その後オケに再入団して、またこの曲をやることになった時は何とか弾けた。
でもピアノはこりごり。
自分の楽器を40秒だけ抜け出していいなら第二ピアノやるけど、と言ったら却下された。何でだか今でもわからない。

けさ、ラジオで鳴ったのは、目覚まし機能だったの。
目覚ましでラジオが作動してから1時間経つと、電源が落ちる。

ちょうどいいや。トラウマの部分が過ぎてから、またスイッチ入れよう。
そろそろだな、とラジオをつけたら、、ううっ、ちょうど第二ピアノが始まった箇所だった。
1分だけ早すぎた、と思ったけど。

ま、ブログネタになったからいいや。

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コメント

  1. にゃんた より:

    ぼくもきっとそのお友達とおんなじことしてる。
    ぼくしか出来ない(と思ってた)仕事だったから、かなり強くでてた。上の人も気を使うくらい。
    ぼくは勝手にできるようになったんじゃない。できるように頑張ったからできるんだ。
    だから、できないひとは頑張ってないだけでずるいって思ってた。

    ぼくしか出来ないってやってた仕事が失敗した。周りの人は別に責めたりはしなかったけど、ぼくの中でもう心が折れちゃった。周りの人にも申し訳なくていっぱい。今までごめんなさい。
    一回目の退職の真相。

    • よはねす より:

      あ。にゃんた先輩のトラウマ、掘り起こしちゃった。ごめんなさい。
      この友達と、似てるところあるかも。彼女もすごい努力家で、頑張ったから希望の大学に合格したと言ってたことあるし。あたしが練習しないので疲れ切っている、ってメールにも書いてあったな。
      真面目な人って、一人で空回りしがちなんですね。とはいえ、確かに当時あたしは努力が足りませんでした。にゃんたさんにも、そのほか大勢のみなさんに、ごめんなさい。

      • にゃんた より:

        ごめんねー。つい友達の気持ちわかったつもりで自分語りしちゃったよ。
        まぁそうゆう闇もあったけど、今では呑気でぐうたらで気の弱さ全開の黒猫です。

        • よはねす より:

          自分語り大好物です。今後も大いに語ってください。
          にゃんたさんが人に強く出たって、ほんとかなあ。語ってもらって悪いけど話半分に聞いてます(^-^;
          「ぐうたら」は完全に信じてないです。毎日お風呂とお掃除するなんて。あ、あたしと比べること自体おかしいか(笑)