きのうの話の続き。
友達からチェンバロを展示してるロビーがあると聞いて早速見物に行ったんだよね。
ついでに、近くの楽器屋さんに弓の毛替えも頼みに行ったの。
本当は弓の毛替えは夏が過ぎたころがいい。
夏の間に溶けてしまった松脂が、秋になって固まってしまうから。
しかし去年の秋、なんか行きそびれてしまって。
今年の秋まで待とうかとも思ってたけど、その楽器店が6月いっぱい有効の1000円引きクーポンを出してたんでね。
これも天のお導き。まだ夏前だけど、やってもらうことにした。
1階の弦楽器専門エリアで弓を預けて、そのまま2階に上がった。
ちっちゃいホールになってるんだけど、グランドピアノと、スピネット(小さいチェンバロ)が展示してあるんだ。
この楽器店がオープンしたその日に一度来たんだけど、そのままコンサートが始まるので詳しい話はできなかったの。
で、今回はもっとじっくり見ようと思ってね、階段を昇ってたら、スピネット前に腰を下ろす男性の足元が見えた。
バッグを床に置いて、スピネットの屋根をあけてつっかい棒を立ててる。
なんだろうこのおじさん、試奏でもしに来たのかなあ。
そこまで見ながら2階のフロアに着いたらね、店員さんが「どうぞ」って入れてくれた。
しかし、そのスピネットの前のおじさんの顔が見えたら、あれれ?知ってる人に似てる。
店員さんの顔を見たら「調律師さんです、今から調律するところです」と。
あ、それならば。
「もしかしたら、O村さんですか?」と確かめたら。
「ああ、お知り合いでしたか」と店員さんもニッコリ。
いえ、一方的に。奥様を存知上げてまして。
調律師さんも腰掛けたままあたしの方を向く。
「あの、合宿でお会いしました」とO村さんに頭を下げた。
彼ももとても喜んでくれたよ。
いつも室内楽合宿には、O村さん私物のスピネットを持ち込んでくれるんだ。
奥様とは合奏をご一緒したけど、調律師さんは朝仕事したら音楽には参加しない。
昨年偶然、調律し終わって部屋を出て行かれるところにすれ違って、ほんのひと目見ただけなの。
あたしたち音楽愛好家とは異質な雰囲気、いかにも職人さんという風情で印象に残ってたんだ。
店員さんにはチェンバロの大きさだけ聞いてね。
展示してあるスピネットは、最大部分の幅が180cm。
うーん、我が家にはそれがギリギリだ。
O村さんは、「合宿に持って行ったのはこれよりもっと小さいです」と教えてくれた。
あー、そんなのもあるんですねー。
O村さんは楽器を持ち出す機会が多いだろうから、なるべく小さいのがいいよね。
もちろん、それとは別に大きなチェンバロも持ってらっしゃるよ。
見たことはないけどね。
「チーフ」と肩書きのついた名刺をくれた店員さんは、楽器販売担当者なのに、チェンバロについておそらくあまり知らない。
このスピネットも、目視で「150cmぐらいですね」なんて言ってたもの。
もう一人、チーフではない店員さんがメジャーを持ってきて測ってくれて180cmってわかったのよ。
うちは、持ち運びすることはまずない。しかし、家が小さいので小さい楽器しか置けない。
O村さんは「あれぐらい小さいスピネットでもなんとか合奏できるぐらいの音は出ますから」とおっしゃる。
ああ、うちはマンションなので合奏はしないんですが、でも、楽器が大きいと音量も大きくなりますか?
(そうなんだって。)
なるべく音量も小さい方がいいですね。
チーフは、製作者に聞いてくれるという。
しかし、今から小さい楽器を作ってもらうと、出来上がるのに何年かかかっちゃいますよね。
「でも、今製作中の楽器もあると思いますし」
それならば。今から買っても、健康寿命を考えるとせいぜい20年ぐらいしか弾けないだろうし、早く欲しい。
ちょっと端折って「この先20年ぐらいしか生きてないだろうし」と言ったら、みなさん「いやいや」なんて笑ってくれたけど。
製作者の久保田さんに聞いて、詳細がわかったらあたしに連絡が来るという。
え、あの久保田さんからウチに連絡が?と一瞬緊張したが、そうではなくこのチーフが連絡をくださるとのこと。
やった。やっとこれで念願のマイチェンバロに一歩近づいたぞ。
チェンバロの先生に相談したらね、なぜかこの楽器店ではなく、目白の古典楽器センターを勧められたんだよね。
しかも、「スピネットだと音が自分に跳ね返るからキツい、チェンバロをお勧めします」って。
でもね、ネットでそこの商品を見たら、一番お安いので145万円。
ここの楽器店のオープン時に聞いたら95万円からって言ってたのよ。
先生が「あらそれはお買い得ですね」って少し驚いてらしたのがあたしは忘れられない。
どうせさー、誰に聞かせるわけでもない、ただ本物のチェンバロで練習したいし、音が聞けたら満足なのよ。
それこそ、20年か30年経ったら引き取ってくれる人が見つかるかもわからないのだし。
O村さんとの予期せぬ出会いも、背中を押してくれた。
オープン時に店員さんから名刺をもらって、「今度来るときはご連絡を」と言われてたんだけど、アポが面倒でね。
もしアポ取りしてたら、この日この時間は調律中だから「来ないで」って言われただろうね。
そしたらO村さんから話も聞けなかったし。
最後に、O村さんに深々と頭を下げてお礼を言って、退出したよ。
本日のオマケ

ラムのステーキ用肉に割り引きシールがあったので。蕪と、クリーム煮にしたよ。同時に鶏レバーのパックなんか買っちゃって。あたしにしては品数多い、その割りに全部茶色い食卓になっちゃった。
完全に食べ過ぎ。かぶのニンニク塩昆布和えは前日の残りだったけど、また半分残してしまった。



コメント
180センチのチェンバロを買い求める
豪邸にお住みでござるな!
長年、粛々と働いてきた事のご褒美でござるな♪
もう、コレはせっかくなので、製作者の久保田さんにお願いして、豪華なの作ってもらうしかないのでは
昨日のは、椅子共々、脚がゴールドでピカピカで素敵だけど、装飾の絵が無かったでしょ。
なんか,私のイメージでは、チェンバロには、お貴族様嗜好の装飾絵がないとね!
ご、ご冗談を。絵なんて久保田工房に頼んだら出来上がるのは3年後でっせ!あ違った、問題はおカネ、おゼゼでござる。想像するのもオトロシイ。
180cmのチェンバロもといスピネットを押し込んだら、あたしは捨てるものがいっぱい。PCを置いてるデスクが無くなるからブログも捨てていい???・・・これもご冗談でござるが。