クラリネットさんと、再度友情を固めた

音楽

月に一度の日曜室内楽は、先月はチェンバロ発表会と重なって休んでしまった。
なので、きのうは2カ月ぶりのご対面だった。

一人のメンバーが、急遽来られないことになったのだけど、遠くに住む仲間のひとりが代わりに練習しに来てくれるという。
この人音大出たプロなんだけど室内楽大好きで、遠くから高い電車賃と時間をかけて時々来てくれるんだよね。
無報酬なのに、逆にお土産を配ってくれることもある。

きのうの朝あたしに連絡があって、昼ご飯の心配をしてたから、駅近くにベーカリーがあるって教えてあげたの。
そこで買った1個をわざわざお店の人に3つに切ってもらった、と言って、それを一切れずつ味見させてくれた。
コロナが落ち着いたから今だからこそできることだな。

いやいや、その前にね、「代奏するけど楽譜ないから用意してね」ともメールに書いてあって。
ひえー。あたしがプリンタ持ってないの知らないな。
でも、この曲をエントリーしたのはあたし自身。本来、全員のパート譜は毎回念のためエントリー者が持っていくのが原則。
急いでコンビニに走って、プリントしてマスキングテープで製本したよ。

間に合うかドキドキしながら荷物まとめてごはん食べて家を出たところで、やっぱり忘れ物に気づいた。
きのうの練習時に、次回の申込書と半年分の会費を提出するんだった。

もちろん3日も前からそれは用意してあって、机の上に出したのにバッグに入れるの忘れた。
もー、いやー。しょうがないから取りに戻った。

そのプロがいたおかげで、問題点と解決策がわかって、いつもと違う練習の成果に一同感心した。
「注意するだけじゃなくて、必ずなにかホメるようにしてる」って、初対面の時言ってたの思い出した。
あたしもきのう「ピアノの音がきれい」ってホメてもらった。
あ?正確にいうとほめられたのはあたしじゃなくて楽器…それは言わないお約束。

しかし、楽譜も持ってなくてよくいきなり合わせられたよなー。さすがプロ。
やっとことあるのかと聞いたら、一度本番で演奏したことがあって、あとは遊びで一度だけ、って言ってたよ。

たった一度だけ、「落ちたー」と言ってやり直した。
「落ちる」ってのは、楽譜のどこを演奏してるのかわからなくなって脱落すること。
ピアノ譜には全員分の楽譜が一緒に載ってるから、彼女が休みなのに音が出てるなーと思ったんだ。
彼女がそこで数え間違ったと伝えることができて、あたしもうれしかった。

1曲目を終えて、2曲めのアンサンブルの部屋に移動する途中に、別の仲間たちとすれ違った。
前回の発表会で大失敗をした時に、あまりのショックで謝ることすらできず、そのあと一度も顔を合わせてなかった人、クラリネットさん。

うわ、会っちゃった。と思ったけど、もう、1月の失敗を今さら引きずっても。
何食わぬ顔で「こんにちは~」とお辞儀して通りすぎてしまった。

2曲めもプロさんが活躍して、満足して会場を出たら。
そこに、クラリネットさんが自転車置き場に立ってヘルメットを着けていた。

いや。もしかしたら着け終わって、あたしを待ってたのかもしれない。

また「お疲れ様でした~」と通り過ぎようとしたら、あたしに近寄ってきた。
前回発表会から一度も話もしなかったことを、謝ってくれる。
「何と言っていいか、わからなかったんです。怒ったわけじゃないと言いたくて」

いやー、そうだったのかー。
人柄はめちゃめちゃ優しいんだけど、ものすごく上手だから音楽の内容には厳しくて。
あんな大失敗をしてしまったあたしに呆れてるに違いないと、内心思ってたんだ。

あたしもね、そう思ったんなら、メールででも謝っとけばよかったんだろう。
言い訳だけど、あたしも自分の失敗がショックで、もう一刻も早く忘れて、なかったことにしたかったんだ。

だからあたしも、お詫びも言えなかったことを詫びた。
そこから、全然話が終わらなくて。
普段、練習が終わるとみんなクルマでさあーっと帰っちゃうから、新入りのクラリネットさんは情報が入ってこないんだって。
次期のエントリー申込書の申し込みがきのうだったのも意識してなくて、その前日の幹事さんからのリマインドメールでやっと気づいたと。

お互い、別々のオーケストラに入ってるので、それぞれの苦労話をしたり。
そこに、あとから二人のバイオリンさんもやってきて、立ち話に参加してきた。

次期エントリー曲の噂、バイオリンさんはよく知ってるみたい。
おかしいな、この人クラリネットさんと同じ時期に参加した新入りさんじゃなかったっけ。
あたしよりよほど詳しいわ。

「今、情報少ないですねーって話、してたところなんです!」と喜んで、たっぷり話をしてもらった。
あたしが参加したい曲は申込書に書いたのだけど、それは誰かエントリーしてくれる人がいなければ参加できない。
もうひとつ参加したい曲をエントリーした人がいるという情報を教えてもらったから「うわー!そっちを書けばよかった」と思わずバンザイしてぐるぐると舞を舞ってしまった。

もう一人のバイオリンさんが「幹事にこっそりメールしたらいかがですか」と智恵を授けてくれた。
あ、そんなことしていいんですね。ありがとうございます。

クラリネットさんは、「弦楽はレパートリーがたくさんあっていいですね」とうらやましがってる。
クラリネットの入る室内楽を、四人であーでもないこーでもないとその場で探したけど。
「ブラームスの五重奏、すばらしい曲だけどプロも2楽章は嫌がるんですよ」
でも、あたしもクラリネットさんもブラームスが一番好きな作曲家。
ってことが、ここで初めてわかった。

「じゃ、もし次の次にブラームスをエントリーしてもいいですか」
いや、エントリーしていいかどうか、あたしが決める権限なんてないですから!

そうじゃないみたい。もしエントリーしたら、あたしがそこに参加してもいいってことみたい!
え。あたしのヘタクソな腕前、知ってるのに!?いいんですかあ。

恐らく、すごく難しいんだと思う。
でも、クラさんご本人からいいと言ってくださった、それがうれしくて。
どんなに難しくても、必死で練習しよう。
幸せな決意で胸をいっぱいにした。

にほんブログ村 クラシックブログへ にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ

コメント

  1. にゃんた より:

    よかったねー。
    なんかいいことたくさん。
    読んでて嬉しくなってくる(^^)
    いい人が周りにたくさんいるんだね。
    ところで…

    あ?正確にいうとほめられたのはあたしじゃなくて楽器。
    ここ笑った

    • よはねす よはねす より:

      はい、もう、幸せで、帰りの電車ではずうっと牛みたいにみんなの言葉を反すうしてました。
      いやいやいいんです、あんな演奏をほめられたらあまりにウソ臭くて喜べませんので。