昼に三田へ行ったあと、夜はちょっと遠くのオケ練へ行った。
練習所の廊下を歩いてたら、事務局長さんがすれ違いに向こうから歩いてきたのだけど。
妙に、あたしの顔を見てる気がしたので目を合わせて会釈したら。
なんだか、表情がとても深刻そうだったんだって。
何かあったのかと、心配されちゃった。
えーー。何にもないのに。
でもそういえば、前回の練習後も仲良しオットから「疲れてますね」って声を掛けられちゃったんだ。
あれは、役員会の始まりを待ってたときだった。
これから始まるのが憂うつで仕方なかったから、それが顔に出たんだろうな。
あたしは、思ってることがストレートに顔に出すぎる。
しかしこの日は、まだ練習が始まってもいないのに。
来るだけで疲れちゃった?やっぱり、一日2種目も遊ぶのは老体にこたえるのだろうかっ。
いや、若いときから、練習に行くだけで疲れてたよ。電車の中で、立ったまま眠っちゃうのが毎週だったな。
今は経路が違うから座れるけど、駅から10分歩くのが辛いなあ。
でもね、いつ行くのは憂うつだけど、帰りはすごく楽しいのよ。
あー、楽しかった!って、スキップしたいぐらい元気になって帰る。
いや、帰ってたのはいつまでだったか。
この日、練習中にね。
あまりにひどい音ばかり出す我々に、指揮者がとても困ってる。
「本番まで、あと2週間ですよ。どうします。
ボク、お客50人呼んじゃった。両親も福岡から飛行機で来るんですよ」
この若い指揮者さんは、最初はバイオリニストを目指してたのだと思う。
指揮者に転向して勉強されて、舞台に立つのはもしかして2週間後が初めてなんだね?
初の、晴れ舞台が、こんな演奏じゃ申し訳ない。
あのおっしゃりようだと、ヒドイのはあたし一人ではないようだけど。
申し訳ない。たぶん、あたしが一番ヒドイ音を出してる自覚はある。
弦楽器、相次いで上手い人たちがぽろぽろと辞めてしまったのも大きいと思う。
しかし、せめてあたしがちゃんと弾けてたら。
そう思ったら、先生に土下座したくなっちゃった。
練習後に、あたしの隣席の楽譜係にそう言ったら「この楽譜、今週も持って帰る?」と微笑まれた。
うっ。せっかく、美しく注意点が書き込まれた楽譜を貸してもらっても、きっとおんなじ。
断った。
彼ね、楽器は完全に独学なんだよ。一度もレッスンを受けたことがないんだって。
しかも、家で練習する時間がほとんど無いという。
その代わり、スコアを読み込んで、しっかりイメージするんだって。
いやいや、それだけじゃ弾けるようになるはずないと思うんだけど。
でも、確かに彼の弓の毛が減ってない。
2年近く前に、気づいたら普通の毛の量の半分以下ぐらいしか弓に残ってなくて、驚愕したことがあるんだよ。
多忙な彼の弓を預かって、あたしと一緒に毛替えに出してあげたことが二度ある。
そうだ忘れてた、今回毛替え大丈夫?と聞いたら「練習してないから弓は大丈夫」って言われちゃった。
ほんとに弾いてないんだなあ。で、よくこんな難しい曲が弾けること。
ああ、この曲は彼、昔一度はやったことがあるはず。
あたしはこのパートに移ってから初めてやるから、なおさら練習不足ってこともある。
あ、これ、言い訳。
半年もかけて練習してるのに弾けないって、恥ずかしいよね・・・
暗い気持ちで、どっと疲れて帰り道もとぼとぼ反省しながら歩く。
駅のホームで呆然と座ってたら、彼も後からやってきた。
あれ。彼もまたひどく疲れた顔をしてる。
手を振ったら振り返してはくれたけど、思わず「キミもひどい顔してるね」って言っちゃった。
聞こえたか聞こえないか、彼、通り過ぎてホームの向こうまで歩いて行っちゃったよ。
ごめん、今日は暗い話で。
指揮者は、気を取り直して「大丈夫。あと2週間あります。きっとできるようになります」って言ってくれた。
あたしも、気を取り直して練習しないとね。
本日のオマケ

きのうも出かけてて結局、楽器練習は1秒もできなかったの。
楽器練習はできなくても、夕飯は絶対食べたい。もう、スーパーで寿司でも買っちゃおうかと思ったが思い直し。
そうだ、今年サンマが豊漁というのに食べてなかったんだ。1尾200円、まあ買えるわね。
大根をおろしてから気づいた、醤油がほとんど無い。こないだ「これっぽっちしか残ってないから全部使い切ろう」なんて思ったけど、思い直してぽっちりでも残しておいてよかった。

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