いしだあゆみの思い出

ひゃっ。
夕飯の支度をしてた手を止めて、それを知って悲鳴に近い声が出た。

あたしがいしだあゆみのファンであることを覚えててくれた友達が、ニュースを転送してくれたんだ。

そのLINEのコメント「なむー」だけがスマートウォッチで読めて、打ち間違いか、それとも縁起の悪いこと？と心配して。

ま、あんなに痩せて、長生きしなさそうには見えたけど。
まさかこんなに早く、たった76歳で。

甲状腺機能低下症って、簡単にいうと橋本病だよね。
あれって、死んじゃうような病気とは思ってなかったよ。
ホルモンを補充する薬を飲めばいいのかと思ってた。
うちの母も、確か軽く低下症だったと聞いた記憶がある。

で、そのニュースを見てもう一つちょっとショックだったのは、彼女の本名を知らなかったこと。
石田良子（よしこ）さんだって。
あと、大阪出身なんだってね。絶対、関西のアクセントなんか出さなかったよね。

誕生日は昔から把握してて、確か「明星」とかの芸能雑誌で見たと思うんだけど。
入社1年後ぐらいに上司の誕生日がわかってね、思わず「あ、いしだあゆみと同じ」って独り言が出ちゃった。
先輩たちから「よはねすちゃん、面白いこと知ってるねー」と構ってもらったのが忘れられない。

先輩たちは仲が良くて、よくカラオケに行ってたのね。
ひとりの持ち歌が、必ず「ブルーライトヨコハマ」で、どうやら音程がかなり怪しいのが非常にウケていたらしい。

あたしは先輩のお株を奪うつもりは全くないし、第一カラオケなんて大嫌いだからね、あたしは歌ったことないよ。
先輩をかばうわけじゃないけど、あの歌難しいよね。普通に、音符どおり歌っても面白くもなんともない。
こぶしをいっぱい付けないと。

さて、あゆは極端にシンプルな生活をしてたんでしょ。
自宅を構えずホテルで暮らしてたこともあったし、鎌倉から東京に引っ越したとき、食器がコップ1個に皿1枚だったとか。

ま、こんなことはネットを見たらどこにでも書いてあることだ。

あたしは、ファンだからといって、そんな生活を憧れはするけど、決して真似はできない。
もう死ぬまで弾けるようにならないであろう楽譜は、気に入ったインテリアとして飾りたいから捨てられない。
ダウンロードしたコピー用紙の楽譜だって、これはいつまた使うかもわからないから捨てられない。
本棚、ぱんぱん。どうしましょ。

いしだあゆみのお芝居は、ほとんど観たことがない。好きなのは、歌だけ。
あの人の妹の石田ゆりも、ちょこっと歌手をしてたことがあったの、みんな覚えてるかな。
あっという間に、作曲家なかにし礼さんと結婚しちゃって。
ウエディングドレス姿でなかにしさんからお姫様だっこされてるのをテレビで観たよ。

で、その後、あゆみが歌番組に出た時さ。
生放送だったので、歌いながら泣き崩れちゃったのが延々と放送された。
ハラハラしてたら、横から和田アキ子がすっ飛んできて、あゆの肩を抱きながら、いっしょに歌ってあげてたよ。
あたしはあれを見てから、和田アキ子が好きになったね。

あゆが、なかにし礼を好きだったのかは、知らない。
単に、妹に結婚の先を越されたのがイヤだったのか、それもわからない。
誰か知ってたら教えて。

あたしは、あゆの冥福を祈りはしない。
行っちゃ嫌だから。
ただただ、彼女の思い出に浸っていたい。
久しぶりに、あゆのＣＤでも掛けよう。

本日のオマケ