市民オケで、新曲の練習が始まった。
同時に、パート異動の希望も聞かれ、あたしは不本意ながら現パートにとどまることになった。
人数が足りないみたいね。
お隣パートから、一人補充。
70代と思われる男性Tさんは、入団して3年経った。
3年以上在籍している人が異動を認められる、という暗黙のルールがあるの。
どうもTさん、そっちのパート内で折り合いがよろしくなさそう。
彼とはよく、帰りの電車で一緒になるの。
入団してもう3年になりますよ、とおっしゃるのですぐ「じゃあ異動したら!?」と勧めてみたんだ。
その時は「いやーとてもとても」と」尻込みしたけど。
フタを開けてみたら、異動が決まってた。
Tさんは、たしか5歳ぐらいから楽器を習い始めたというけど、それをいうとみんなびっくりする。
遠くから見ても、弾けてないのが丸わかりで、心配する声が時々聞こえる。
こないだの練習後、また電車でいっしょになったの。
「こっちのパート、どうですか」と水を向けた。
Tさん「いやー、やっぱり難しいねえ」
こっちのパートでもTさんぐらい、いやーもっとかな、弾けない人が一人いるんだよ。
うまい人が二人、どちらかが必ず隣に座ってフォローしてあげてたのが1年ぐらい続いたな。
思い出すなー。あたしだって、入団した時はまるで弾けなかったんだよ。
Tさんと全く同じ、今、楽譜のどこをやってるんだかわからなくなる。
もちろん、曲によるよ。主旋律を弾いてるなら簡単だけど、伴奏の分散和音だけが続くとダメ。
そんなあたしと一緒にいて、みんな我慢してくれただけじゃなく、手取り足取りたくさん教えてもらった。
だからね。Tさんだって、うちのオケにいていい。
うちら、プロじゃないもん。楽しく遊ぶことができるなら、それだけでいいと思ってるよ。
Tさんには「いろんな人がいていいんですよ」と言ったところで、彼の降車駅に着いた。
彼が降りた後、ちょっと考えた。
なぜTさんが、前のパートで折り合いが良くなかったのか。
パートチーフは、「せっかく教えてあげても絶対何か言い返して、素直に聞いてくれない」って直接あたしに言ったことがある。
それは、確かに良くないわ。
Tさんに、今度教えてあげようかしら。
最近、退団してもらった団員がいるんだ。
そんなこと、滅多にない。
明らかにお客様やエキストラさん、指揮者先生に失礼な言動が何度もあったから。
練習時、指揮者から「こういうふうに演奏してください」と言われても、いちいち刃向かうのよ。
そのたび、全員凍りつくよね。
素直に聞けない、だけじゃあ退団までには至らない。みんな何年も我慢してたと思う。
ただね、そいつがいるだけで練習が楽しくなくなるんだ。
そいつが休んだ日の練習が、なんと楽しかったことか。
決定的に団の名誉が傷つくようなことが続いたので、ついに退団勧告したらそいつ、「オレのような上手いのがやめたら団の損失だぞ」と言ったそうだ。
冗談じゃない。合奏の中で一人「オレの演奏が正しい、ついてこい」なんてのがいたら、音楽にならないんだ。(もちろんコンマスを除く)
Tさんは、そこまで俺様ではない。
ただ、口が軽いだけなんだよね。自分が弾けてないという自覚はちゃんとある。
でもあたし、うまく言えるかな。
アドバイスを素直に聞かないのが、どんなに人を悲しませることか。
って言ったら、暗にTさんを批判してるって伝わっちゃうかしら。
本日のオマケ

大きなかぶがありまして、カブのクリームシチュー。1個だけで鍋いっぱいできちゃった。
以前、鶏肉と野菜とうどんをいっしょに煮たときの煮汁が美味しくて、残しておいてもう一度うどんを茹で、さらに残した汁でシチューを味付け。
塩は一粒も入れてない。うどんから出た塩分だけで強すぎるぐらい。で、シチューには鶏肉を追加したので旨みもそれだけで十分。

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