楽器に貼ったシールでいい話題

発表会の最後に、全員の合奏で締めるというプログラムだったの。
4曲ぐらい用意したんだけどね、時間が押して1曲しかできなかった。

ま、どれもクラシックじゃないから逆に助かったぐらい。
「花は咲く」という曲、たぶんみんな知ってるよね。
あたしは、こういう音楽の催しのアンコールで弾いたことがあるだけで、それがなかったら今でも知らなかったと思う。

ジブリのアニメソングよりはマシだよななんて思いながら弾いてたら、お客の後ろにS山さんがいるじゃん。
目が合ったら、オイ、逸らしたな。
あたしだって弾きたくなかったのに。あ、曲がイヤというよりも、時間がなかったんだ。
確かに、舞台にぎっしり立って、ピアノ以外の人は弾くのがギリギリのスペースしかない。
S山さんとあたしが抜けてもまだ窮屈だったはず。

そのあと簡単な打ち上げをやるとは聞いてたよ。「お時間のある方は」ってオババが言ってたから、強制ではない。
あたしはお時間がない。
この夜のオケ練習には、本番指揮者が来るの。絶対に出たい。
予定通りの時間に終われば何とか間に合うはずだったけど、30分ぐらい遅刻しちゃった。

あーあ、ケータリングのおつまみおいしそうだったな。
缶ビールぐらい飲みたかったなーーーーー。
朝のうちにコンビニで買っておいたオニギリを抱えて、オケ練習室に入ったら。
空いてる椅子はひとつあったけど、演奏中割り込んで入ったらいろいろ危険な位置だった。
もう１脚の椅子を出してきて、最後尾に座って。

ほどなく休憩に入って、さっき電車待ちの間にホーのベンチでかじりかけてたオニギリの続きに取りかかる。
ふとみたら、指揮者先生も指揮台の上でコッペパンみたいなのにかぶりついてる。
なのに、ひっきりなしに団員が入れ替わり立ち代わり相談をしに来る。
若い女性だから、なおさら可哀そうになるよ。
きっと毎日のように夜ごはんまともに食べられないんじゃないだろうか。

練習はとっても楽しかったよ。やっぱり本番指揮者のいうことは全部大切。
ただ、ピッコロが相変わらず張り切って最大限の音量で耳をつんざくの、叱って欲しかったなあ。
あたしは楽器のペグ（糸巻のツマミ）を耳の穴に当てて、必死に耳を守る。
こないだなんか、コンマスがあきれてピッコロを見てたら自分の出番に入り損ねたよ。

ああ、練習が終わって片づけてるとき、偶然となりにケースを並べてたのがコンマスの奥さんだったんだよね。
その隣にコンマスもいたから、「今日もピッコロに気を取られて出られなかったフリでもしたらよかったのに」って言えばよかった。

奥さんのケースには、小さいシールが2枚貼ってあってね。
どこかで見たようなイラスト、なんの絵でしたっけと聞いたら「キース・へリングです」って。
んー、その名前だけは聞いたことがある気がするけど、ミュージシャンだか誰だか全く知らない。
ニューヨークのポップアーティストで、ニューヨークに新婚旅行に行ったとき買ったんだそうだ。

「聞いてくれます？」と珍しく奥さんが喋り出す。普段めったに喋らない人なんだ。
「あの日だったんです」
ニューヨークで「あの日」って言ったら、あれだよね。
3.11って言っちゃった気がする。もちろん9.11の間違い。
奥さんいい人、間違いには触れず、話を続けてくれた。
ちょうど1回目の衝突で、ビルから煙が上がってるのが乗ってる飛行機から見えたそうだ。
着陸したらもう2回目の衝突の後で。
一切、なにも観光できなかったそうだ。

楽器につけるアクセサリーって、それぞれみんな思い入れがあるものだね。
こんなすごいストーリーや、大物アーティストを自宅でもてなしたなど珍しい経験が聞けるのだから、もし話題に困ったら楽器ケースに注目してみよう。

あたしは大したストーリー持ってないからね、今まであまり付けてなかった。
こないだ買ったニョロニョロを付けてみた。けど、万一ブログ読んでる人がいたら即、身バレ。
もう、外しちゃおうかしらん。

本日のオマケ

きのうの夕飯。

きのうも疲れるだろうと思ってたので、非常用冷食、業務スーパーのラザニアを解凍してから出かけたんだ。

毎週末に楽しんでるワインが、今週全く飲めなかったので、変則的に日曜だけどワイン飲んだ。日曜から平常運転で、納豆と大根おろしの毎日を始めることにしてるんだけど、そんなマイルールがどんどんぶっ壊れだしている。

正方形のラザニアを舟型耐熱皿に無理に押し込む。うちの耐熱皿舟形しかないのよ。

おいしいけど、これとサラダだけじゃ全然満足感がない。このあといろいろ食べました。