マリちゃんありがとう

勤めていた会社の、同期で少し仲の良かったマリちゃんから、突然メールが届いた。

「お変わりないですか」ってだけなので「3月いっぱいで退職した」とだけ返信。

どうしたのかと思えば、同期会の計画があるがあたしの連絡先がわからない、と女性幹事からマリちゃんに問い合わせがあったそうだ。
後回し、後回し。
今まで、このお知らせは会社のアドレスに来てたからね。
きっと、届かず戻っちゃったんだろう。

じゃ、退職したこと想像はついてるはずだ。

あたし、入社当時は劣等感のかたまりだったからね。
先輩にも、同期にもなじめなくて。
特に、同じ部署に配属された同期S野さんが苦手だった。
S野さんは大卒で、あたしやマリちゃんその他ハタチ入社組をことあるごとに小ばかにするんだよ。
昼休みに一緒に外を歩いただけでも、すぐあたしの袖を引っ張って「ほら、危ない」とかね。
S野さんはそれでも、出来の悪い同期を親切に面倒見てる感覚で、悪気があったわけじゃない、とは思う。

それにしても、会話のたびに傷つくようなことをしょっちゅう言うんだよね。
新婚の先輩が「なんで妊娠しないんだろう」ってちょっと心配してたのを聞いて、後から影で
「ああしてこうすればできるのに」ってほんとにバカにして笑ってるのを見たときは、よっぽど「そんなこと言って、もし自分ができなかったらどうすんの」って喉から出掛かった。
妊娠て、そんな計画通り行くもんじゃないよね。先輩は、幸いそのあとすぐおめでたで退社されたけど。

後年、ほんとにS野さんが子宝に恵まれずいよいよ諦めた、と言うのを聞いたときは、表面上は同情したけど。
まさかあの時のあたしの呪いが本当になっちゃったのか、とちょっとどきっとした。
まあ、「ホラ見たことか」と思ったことも事実。

そのほかの恨みつらみ、音楽上のネタもあるけどね、悪口があまり長いと、いやでしょ。やめとくね。

でもね、S野さん、同期会のたびに「よはねす来てないの、どうしてるの」と言ってあたしに会いたがってるんだって。
あっちからすれば、小ばかにできていい気分だったのかな。懐かしいらしいよ。

マリちゃんからも、当初は少し軽く扱われて悲しかったこともあるんだけどさ。
彼女が寿退社するころには、だんだん仲良くなっていたよ。

マリちゃんが同期会に出席するならちょっと会いたいけど、S野さんには会いたくないんだよなー。
と、マリちゃんに返信した。
彼女はS野さんと同じ部署じゃなかったけど、やっぱり嫌な思いをしたからね。話は通じるの。

同期で、いつのまにかグループLINEが設けられてるんだって。
でもほとんど連絡専用で、S野さんもマリちゃんもそこには絡んでこないと。
じゃあ、もし幹事からグループLINEに誘われたら、入っても大丈夫かな。

マリちゃんは「無理することないよ!」って言ってくれた。
そうか、入らなくてもおかしくないみたいだな。

前情報、助かったよマリちゃん。

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コメント

  1. にゃんた より:

    ぼく同期はやっぱり懐かしいなぁ。
    でも嫌な思いをさせられた方はそうでもないんだろうね。
    付き合ってた人いるけど、その人も出てきてくれるので大丈夫なのかな。
    ちょっと気になったりして^^;

    うちの同期会は10年に一回くらいだな。
    その間にやめた人も多くて、幹事結構苦労してた。
    あ、ぼくもこの10年でやめた組だ。
    幹事見つけてくれるかなぁ。

    • よはねす より:

      へーーオフィスラブだったんですかー盛り上がりそうですね。彼女も出てくるなら、きれいなお別れだったんでしょう。
      逆に同期会のやめ方が難しくないですか。あたしは年賀状のやめ方が難しかったです。