インサイダー扱い解除

そういえばあたし、1年前に無職になったんだ。
アンケートとか金融機関に職業登録していたの、気づき次第変更してるんだけどさ。
まだひとつ、変更し忘れてる証券会社があった。

SBI証券で昨年、元在籍してた会社の株を少し買ったの。
買うときは何も問題なくスムーズに買えたんだけどさ。
このたび登録職業は無職に変更できたのに、インサイダー登録は削除できなかった。
退職後1年は削除できないんだって。

1年、過ぎたよ。
でも、この項目だけはネットからじゃできなくて、コールセンターに連絡しなきゃダメなんだって。

固定電話からなら0120のフリーダイヤルが使えるけど、うち固定電話持ってない。
こういうときなあ、会社の固定電話があったら昼休みとか人の少ない時にこっそり電話しちゃうんだが。
通話料かからないから、その点あまり罪悪感もない。勤務中じゃないしさ。

携帯電話からだと0570で、20秒10円かかるんだって。
それがね、かけてみたら自動アナウンスで「待ち時間は5分から7分です」って。
おそろしい。7分も待ったら60秒30円×7、210円か。
1分待ってみたけど待ちきれなくて、電話切っちゃった。

金額が読めないって、あたしには耐えられない。
あたしが電話が苦手なのは、それも一因かも。
通話してる間じゅう、10円玉がチャリン、チャリンと落ちていくのが脳裏に浮かぶ。

折よく、ケータイ会社から金額確定お知らせが来た。
もう、今月だけで220円もかかってる。
30秒ごとに22円のコースだから、えーと、何分だ？300秒、5分も使ってしまった。

公衆電話からかけてみようかなあ。かかるかなあ。
非常用のテレホンカード1枚だけあるし。
テレホンカードって、何歳以上の人が覚えてるんだろうね。

ところで公衆電話って、両替機がある銀行を探すのと同じぐらい、見つけるの難しいね。
駅の改札付近ならよくあるけど、電車の轟音にじゃまされて、難しい話なんかできたもんじゃない。
やっと、人通りの少ないところに見つけて入ってみた。

テレカなんて使ったの何十年ぶりだろう。
「ピー、ポー、パー」の音を確認しながら押さないとうまくいかないのも忘れてた。
カード残り度数が10しかなくて、一瞬「うっ」と困ったが、そうだ、今からかけるのは通話料無料のフリーダイヤルなのだった。

フリーダイヤルは公衆電話から使えるかどうかが心配だったけど、無事つながった。

ただし「この電話の予想待ち時間は4分から７分です」というアナウンスはほぼ同じ。
保留音が電子音ではなく、ちゃんとバイオリンとピアノの「ベートーベンのバイオリンソナタ『春』」なので、まだ救われる。

音質はヒドイけどサビだけの繰り返しではなく、長めに流してくれるのもありがたい。音楽が好きでよかった。クラシックなんて耐えられない、っていう人もいるんだろうね。

偶然、電話ボックスから近くのビル壁に取り付けた時計が見える。
ほんとうに7分待って、オペレータが出てくれた。

名前と生年月日と口座番号と退職日を口頭確認されただけで、「インサイダー登録」を削除してもらえた。
審査手続きに1週間かかるそうだけど、そんなにすぐ株式取引する予定はないので問題なし。
この日のお仕事、これにて終了。